■伝わらない施設の姿

――ここ最近ドラマ放送などもあり、児童養護施設への認知度、理解度など、変化はありますか。

麻生:あのドラマはインパクトがありましたよね。子供たちもいろいろなことを聞かれたり言われたりして帰ってきて、我々施設の現場にいるものからすると、非常に心を痛めたこともたくさんありました。お前の家もああいうところなの?とか、もらわれていくの?と言われて帰ってきた子もいました。だけどやはり、世間の認知がその程度だということについては、我々施設で働くものの力不足もあるだろうと思います。これからそこにも注力していかないといけないと思っています。

ドラマ云々ということだけではなくて、少し前にはタイガーマスクの現象もあってですね、うちの倉庫にもまだいくつか残っているんです。どうしても、断片的に施設の情報が伝わっていくんですよね。だけど、全体としての児童養護施設、きょう私の話を聞いてもらえたように、子供たちの生活どうなっていますか、とか、どういう風に支援を展開していますかとか、全体の話を聞いてもらえるチャンスがなかなかないんです。だからそのような場を作っていかないといけないし、施設の側が発信する様な工夫をしていかないと、子供たちがだんだん生活しづらくなっていくかもしれないと思っています。

■施設出身、自立への壁

――18歳になって、子供たちが施設の生活を終えて社会にでていくとき、どのような問題点、大変さがありますか。

麻生:児童養護施設は児童福祉法で18歳まで、最大20歳までは延長してよいとなっていますが、実際は虐待を受けた子供の保護が優先されていて施設側が一杯なので、18歳で出ざるを得ないという状況が続いています。

――例えば仕事に就こうとか、新しい仕事、転職してみようというとき、親御さんのいない子供だと、例えば保証人などで困ることがあると聞いたことがあります。

麻生:そうなんです。自分がこの仕事に就きたい、あるいはこういう会社に入りたいと思ったとしても、そこに保証人になってくれる親がいない、あるいはアパートを借りて1人でがんばろうと思っても保証人がいないからアパートは借りられないということになると、子供たちは傷ついて意欲を失ってしまいます。是非そういう現実を知っていただいて、そして仕組みが変わっていければと思っています。

――現実として、親の保証がないと基本的にだめというところでつまずくケースというのは、今でもありますか?

麻生:ありますね。それに代わるような仕組みもあるんですが、だけどそういうことは知られていないので、「(親の保証はないけど)代わりの仕組みでこういうものがあるので、この仕組みでいきたいんです」とお話ししても、「ちょっとうちは」と言われてしまうんです。

――制度として、保証人がいない人のための制度もあるけれども、受け入れ側に知られていない。

麻生:そうなんです、知られていないですね。二の足を踏んでしまうことが多いですね。

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