プロ棋士とコンピューターソフトが対戦することで大きな話題を集めた「将棋電王戦」。主催のドワンゴと日本将棋連盟は、団体戦形式の電王戦は2015年春でいったんファイナルとし、これに代わって2016年からは棋士とソフトがペアを組んで対戦する新棋戦「電王戦タッグマッチ」を行うと発表しました。新棋戦の賞金は名人戦、竜王戦に次ぐ規模になることも公表されており、これに先立ち9月20日からタッグマッチのエキシビション戦「タッグマッチ2014」も開幕します。いわば人間とコンピューターの共闘スタイルとなるタッグマッチですが、一方でこれまでの電王戦のような対決の構図とは大きく様相が異なる形になり、ファンがどのような反応を見せるか注目されます。

【写真】電王戦「連敗」 将棋界はコンピューターとどう向き合うべきか

プロ棋士とソフトがペア組んで戦う

[図表]将棋の「電王戦タッグマッチ」とは

 タッグマッチはプロ棋士がソフトを傍らに置き、ソフトの示す手を参考にしながら自分の指し手を決めていく対局方式。間もなく始まる「タッグマッチ2014」には、プロ棋士12人が参加し、過去の電王戦に出場した「ponanza、ツツカナ、YSS、やねうら王、習甦」の5ソフトのひとつと組んでトーナメントを戦います。棋士とソフトの組み合わせは事前に決定しており、例えばシードの久保利明九段は習甦と、人気棋士の加藤一二三九段はやねうら王と組むことが決まっています。

 タッグマッチはすでに2013年に開催しており、ドワンゴの川上量生会長は「大変な好評をいただき、大きな可能性を感じている」と成功に自信を見せました。習甦と組む中村太地六段は「自分の力とソフトの力の両方を出し切り、最高の棋譜を残せたら」と抱負を語っています。2016年の新棋戦について将棋連盟は公式戦としては位置付けないとしていますが、かなり高額の賞金棋戦となる以上、優勝者は名人、竜王戦並みの格になるともいえます。

 チェスの世界では現在、ソフトの発達が進み、既にノートパソコンでも人間のチャンピオンクラスに勝つレベルになっています。また、人間側がコンピューターで指し手を調べる「アドバンスドチェス」というチェス版タッグマッチも定着しています。

 アドバンスドチェスという試みは、1996年にIBMのコンピューターであるDeep Blueとの対戦で敗れた世界チャンピオン、ガルリ・カスパロフ氏が提唱しました。人間とコンピューターの互いの弱点を補い合って、より高みの対戦を実現することを求めて始められています。電王戦のタッグマッチはこれに倣ったものと考えられます。

この記事が気に入ったら「いいね!」をお願いします