空前のブームを巻き起こしている「妖怪ウォッチ」。ゲームソフト、コミック、アニメなど複数のメディアに展開するクロスメディア戦略だけでなく、妖怪たちの多彩なキャラクター設定も人気の要因でしょう。

 『ゲゲゲの鬼太郎』『陰陽師』『千と千尋の神隠し』など、妖怪が登場する漫画やアニメ、映画、小説は数多くあり、現代のわたしたちにとって妖怪はなじみのある存在といってよいのではないでしょうか。

 歴史を遡ってみると、はるか昔から、日本人は妖怪と共にあったということがわかってきます。妖怪という「奇怪な」存在に囲まれ、立ち向かい、その「不思議」を追究しようとしてきた15人の代表的な「妖怪ウォッチャー」を取り上げながら、日本人と妖怪の関係を探りたいと思います。

 なお、「妖怪」とは何かの定義についてはさまざまな説がありますが、一般には「人智を超えた、超自然の力に対する畏怖の気持ちが創り上げたイメージであり、化けたり変形したり巨大化して出現するもの」と言えるでしょう。

(以下、敬称略)

1.妖怪・八岐大蛇を切り刻んだ須佐之男命

 八岐大蛇(やまたのおろち)は、目はホオヅキの実のように赤く、首が八つで、尾も八つあり、胴体に苔と杉の木が生え、その体は八つの谷にまたがるほどの大きさ、そして腹から常に血を流している妖怪です。その奇怪な大蛇を、剣を抜いて切り刻み、奇稲田姫(くしなだひめ)を救ったのが、天照大御神の弟、須佐之男命(すさのおのみこと)です。その後、須佐之男命は奇稲田姫を娶りますが、出雲に宮を造ったときに詠んだ歌、「八雲立つ出雲八重垣妻籠みに 八重垣作るその八重垣を」は日本で初めての和歌として知られています。邪悪な妖怪を退治した、勇気あるロマンチックな須佐之男命こそ、日本の英雄の元祖なのです。

2.希代の陰陽師、安倍晴明

 京の都に現れて人をさらっていた酒呑童子の正体を見破り、大江山に棲む鬼の首領だと一条天皇に告げ、勅命による源頼光の鬼退治につなげたのが安倍晴明(921-1005)です。公家の娘だった「宇治の橋姫」が嫉妬に駆られて鬼女となり人々を殺したため、渡辺綱が鬼の腕を断ち切り、その腕を安倍晴明が封印した話も知られています。安倍晴明は京で、式神と呼ばれる鬼たちを使役して悪霊を退け、陰陽師、呪術師として天下にその名を馳せました。

3.悪鬼の酒呑童子を退治した源頼光

 武将の源頼光(948-1021)は、酒呑童子を「頼光四天王」と共に退治しました。四天王とは、渡辺綱、坂田金時(あの金太郎です)、卜部季武、碓井貞光です。また頼光は渡辺綱を連れて、洞窟にいる巨大な土蜘蛛の妖怪も退治しました。『土蜘蛛』は能や歌舞伎の印象的な場面でも知られています。