#01 砂漠の墓穴

ブッシュ大統領のイラク侵攻の命令をうけ、隣国クエートで待機していた海兵隊は国境に向かい動き出した。砂漠での一日目の進軍を終えた兵士たちが、日が暮れるなか黙々と穴を掘る。自分たちの寝床をつくるためだ。いつ落ちてくるかも知れぬ砲弾。飛び散る破片から身を守るため、地面の下に身を沈めておく必要があった。 我が身は自分で守るという戦場のルールは、カメラマンとして従軍していた僕にとっても同じこと。持ってきた携帯シャベルで、僕も穴を掘り始めた。砂漠とはいえ、石や岩が多くて掘っていくのは容易ではない。40分ほどかけてようやく身を横たえられるだけの浅い穴を掘った頃には、あたりはすっかり暗くなっていた。昼の暑さとは裏腹に、砂漠の夜はぐっと冷え込む。寒さでヘルメットと防弾ベストを脱ぐこともできずに、僕はこの墓穴のような穴に身を横たえ、星空を見上げながらただ体を震わせた。
(2003年3月)

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