[写真]決算見通しの大幅下方修正を発表したソニー(ロイター/アフロ、2014年5月22日撮影)

 ソニーが発表した決算見通しの大幅下方修正は、市場に大きなインパクトを与えました。電機大手の中でソニーだけが業績低迷に歯止めがかからない状態になっているわけですが、そこにはどんな背景があるのでしょうか。

 今回ソニーが業績見通しを大幅に下方修正した理由は、スマホ事業の伸び悩みで減損処理が必要となったからです。同社は、スマホ事業を行うソニー・エリクソン(現ソニーモバイルコミュニケーションズ)を完全子会社化していますが、その評価額は、事業計画の数字を元に算出されたものです。しかし、スマホの販売が低迷し、事業計画通りに進まなくなったことで、スマホ事業については帳簿上、価値を減らす必要に迫られました。これが減損処理です。つまり、当初立てていた事業計画が達成できていないということを示しているわけです。ソニーは昨年度も同じような業績の下方修正を行っているのですが、その理由の一部は、やはり事業計画の未達による減損処理です。

 ソニーだけがこのような状態になっていることには理由があります。それは同社が掲げる基本的なビジネス・モデルです。

 かつて日本の製造業が高い競争力を持っていた時代、電機メーカー各社は、圧倒的な魅力を持つ大ヒット商品を打ち出すことで、高い利益率を狙うという戦略を採用していました。ソニーの代表的な製品であるウォークマンはその典型的な例といってよいでしょう。

 しかし、現在の日本メーカーは、そのような大胆な経営戦略を実施できる環境にはありません。とにかく、コストを削減し、出来るところからコツコツ利益を積み上げるという、地道な経営手法が効果を発揮しやすいのです。目玉商品がなくなったと揶揄されながらも、パナソニックは3期ぶりの黒字転換を果たしていますし、情報システム、建機、重電など、相互に関連しない部門を幅広く揃える日立は真っ先に業績回復を実現しました。

 このようにリソースを分散させる経営手法は、高い利益率を実現できないため、グローバルスタンダードという視点ではあまり評価されません。グローバル企業として高い評価を得ることを望んでいるソニーは、依然として従来型の戦略にこだわっているわけです。

 しかし、こうした同社の方針は完全に裏目に出ていると考えてよいでしょう。同社が今後、業績を回復させるためには、他社と同様、部門ごとにコスト削減を徹底し、小さな利益を積み上げていくことが重要となります。かつての栄光は捨て去り、身の丈に合った経営を行う必要がありそうです。

(The Capital Tribune Japan)

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