[写真]晩夏の日差しの中走るWT3301号(福田武史氏撮影)

 鉄道ファンであれば一度は夢に抱くであろう「鉄道会社の社長」。そんな夢のポジションに早稲田大学鉄道研究会の出身で、外資系IT企業でマーケティングの仕事に携わってきた山田和昭さん(51)が、鳥取県の第三セクター鉄道会社・若桜(わかさ)鉄道の社長に就任した。とはいえ、経営の厳しい第三セクター。人口減とクルマ社会による乗客減もあり、新社長の手腕が期待されている。

 今年6月、若桜鉄道が社長を公募、30名の応募があった。そのなかから選ばれ、9月1日の臨時株主総会で社長に就任した。山田さんは「応募条件に『即戦力になれること』『人脈があること』というものがありました。単純に鉄道を走らせることのノウハウだけではなく、現在の若桜鉄道にはマーケティングの能力も求められています」と役割を自任する。

 若桜鉄道は、もともとはJR西日本若桜線だった。1987年10月に第三セクターに転換し若桜鉄道若桜線になった。鳥取県八頭町にあるJR因美線の郡家駅から、若桜町にある若桜駅へと向かう全長19.2キロの路線。全線単線・非電化である。2009年には、上下分離方式を採用した。大きなコストが必要とされる線路や駅施設を八頭町と若桜町が保有し、運行を若桜鉄道が責任を持つというやり方が上下分離方式だ。

 2年連続の赤字決算。「赤字を減らせという要求に応えたいと思います。売上を上げたい」と意気込む。「地域の足を守るということは大前提です。お客様を減らさないようにしたいと考えています。この地域では自動車の利用が多いので、鉄道のサービスレベルを上げるように頑張りたい」。

 因州ののどかな里山の風景のなかを走り抜ける車両。地域で生活する人々の生活の足であることに加え、蒸気機関車の運転体験やグッズ販売、ツアー企画など営業外収入の強化に手腕が期待されている。鉄道の観光資源としての活用だ。2008には若桜線沿線の機関車転車台や駅舎、給水塔、橋梁など23の施設が国の登録有形文化財に認定されている。

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