[写真]シェールガス事業はここ数年大ブームとなっていたが、一方ではバブルを警戒する声も出ていた(写真は米国のマーセラス・シェール。ロイター/アフロ、2013年1月13日撮影)

 住友商事は9月29日、米テキサス州におけるシェールガスの開発事業で生産量が想定を大きく下回る可能性が高くなったとして、約1700億円の損失を計上すると発表しました。また、石炭価格の下落によってオーストラリアにおける石炭事業においても損失を計上することになり、合計の損失額は2400億円に達する見込みとなっています。シェールガス事業はここ数年、大ブームとなっていましたが、一方ではバブルを警戒する声も出ていました。果たしてシェールガスのビジネスは幻想だったのでしょうか。

 同社はテキサス州にあるシェールガス開発会社に出資し、2012年から採掘プロジェクトへの投資を行ってきました。しかし、出資した会社の開発実績を詳しく分析したところ、効率的な石油やガスの回収が難しく、投下資金が回収できない可能性が高いことが明らかになりました。このため、同プロジェクトに対する出資金や油井の設備などについて減損処理する必要に迫られており、その合計は1700億円になる見込みとのことです。

 米国はここ数年シェールガス・ブームに沸いていました。シェールガスとは岩盤層に含まれる天然ガスのことを指します。以前は、採掘コストが高いことから開発が見送られてきましたが、近年、新しい技術の開発で採掘コストが劇的に低下し、次世代エネルギー源の主役に急浮上してきました。

 特に米国はシェールガスの埋蔵量が豊富といわれています。国際エネルギー機関 (IEA)の調査によると、米国は近い将来、世界最大のエネルギー産出国になり、すべてのエネルギーを自給自足できるようになる見通しとのことです。米国は世界でもっとも安価にエネルギーが手に入る国になったことから、米国へ工場を回帰する動きが急ピッチで進んでいます。

 しかし、こうした話はあくまで米国全体のことです。シェールガスの油田は、従来の油田とは異なり、規模の小さな油田が多数、寄せ集まって出来ています。このため、ひとつひとつの油田の採掘がうまくいくのかは、やってみなければ分からないというのが現実といわれます。

 実際、2013年には、シェールガス開発大手のGMXリソーシズが、米連邦破産法11条(いわゆるチャプターイレブン:日本の民事再生に相当)を申請するなど、頓挫する事例も増えてきています。米国のシェールガス・ブームは今も健在ですが、残念ながら住友商事が関わったプロジェクトはこのような結末を迎えてしまったわけです。

 しかし、商社には米国で生産されたシェールガスを日本に輸入するという仕事もあり、油田の開発だけが収益源ではありません。商社はこのあたりのバランスをうまく取りながら、全体のリスクを管理していく必要がありそうです。

(The Capital Tribune Japan)