1920年にフランスで創設。数々の名勝負、そして様々な名馬を送り出し、近代競馬発祥の地であるヨーロッパを代表するレースとなったGI凱旋門賞。93回目を数える今年、日本からハープスター(牝3)、ジャスタウェイ(牡5)、ゴールドシップ(牡5)の3頭が、日本競馬の悲願でもある凱旋門賞制覇を果たすべく出走する。

あのディープインパクトも勝てなかったレース

2年連続2着だったオルフェーヴル(写真:アフロ)

 凱旋門賞は、ホースマンにとってヨーロッパだけでなく世界最高峰とも賞される伝統あるレースだ。日本からも1969年(第48回)のスピードシンボリ以来、14頭の日本調教馬(エルコンドルパサーとタップダンスシチーは外国産馬)が挑戦するも、2着が最高位であり、まだ優勝馬は誕生していない。

 日本調教馬で2着となった馬は、エルコンドルパサー、ナカヤマフェスタ、オルフェーヴルの3頭。日本競馬史上最強馬とも言われたディープインパクトは2006年(第85回)の凱旋門賞に出走するも3位入着に止まり、その後、体内から禁止薬物が検出されたため、失格処分を下されている。

 2012年(第91回)、2013年(第92回)の凱旋門賞で、2年続けての2着となったのがオルフェーヴル。オルフェーヴルはディープインパクトと同じく、日本競馬におけるクラシック三冠(皐月賞、日本ダービー、菊花賞)を制するなどGI6勝をあげており、凱旋門賞制覇の期待も高かった。だが2012年はソレミア、2013年はトレヴと2頭の牝馬を前に敗退。日本調教馬による凱旋門賞制覇の夢は遠のいたかのように思えた。

今年は異なる魅力を持った「3本の矢」での挑戦

ドバイで圧勝したジャスタウェイ(写真:ロイター/アフロ)

 だがついに今年、日本競馬の悲願が達成されるかもしれない。2010年(第89回)から、毎年2頭ずつこの凱旋門賞に挑戦してきた日本調教馬だが、なんと今年は3頭。しかもその3頭共に、現在の日本競馬を代表するサラブレッドばかりである。

 この3頭の中ではGIレースを5勝と、実績面で抜けた存在と言えるのがゴールドシップ。また父のステイゴールドは凱旋門賞2着馬のオルフェーブル、そしてナカヤマフェスタの父でもあり、血統面においてもこのレースへの適性の高さを示しているのは心強い。

 ジャスタウェイはGI3勝という実績面ではゴールドシップに劣るものの、世界中の競走馬の能力を数値化するレーティング、ワールド・サラブレッド・ランキングで、世界一の競走馬として認められている。ちなみにオーナーはアニメ「銀魂」の脚本家でもある大和屋暁氏であり、その「銀魂」のキャラクターからジャスタウェイは名付けられている。

 ハープスターは3頭の中では唯一の牝馬となる。GI勝利は桜花賞の1勝だけだが、デビューからの7戦で2着を外したことのない高い能力を持ち、前走の札幌記念ではゴールドシップに勝利。しかも、その桜花賞では最後の直線だけで前を走る17頭全てを抜き去るなど、その走りは現役時の父ディープインパクトを彷彿とさせる。

 実績面ではナンバー1と言えるゴールドシップは、凱旋門賞の施行条件である芝2400メートル以上のレースを得意としており、スタミナ勝負となれば持ってこいと言える。一方、ジャスタウェイは3頭の中唯一の海外遠征経験(GIドバイデューティーフリー)があり、世界各国の強豪を相手に、コースレコードを樹立して優勝。スピードという面では今回の出走メンバーでも抜けた存在である。

 牝馬、しかも3歳という年齢を武器に好走を見せてくれそうなのがハープスター。凱旋門賞はこれまでの歴史で最も多く勝ち馬が現れている年齢が3歳であり、しかも牝馬となると、ゴールドシップやジャスタウェイのような4歳以上の牡馬よりも、斤量(人と鞍を合わせた重賞)がかなり軽減される。この凱旋門賞でゴールドシップやジャスタウェイは、59.5kgの斤量を課せらているが、ハープスターの斤量はそれよりも5kgも軽い54.5kg。競馬では1kg斤量が違うだけで1馬身程の差が出ると言われており、性別の差、そして競走馬としてまだ完成しきっていない3歳馬と言えども、この斤量差はハープスターにとってかなり有利に働くはずだ。

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