[写真]東京ゲームショウ(2014)のニコニコ動画のゲーム実況ステージ。ゲーム実況者が出演し、実況を披露(niconico提供)

 米国のアマゾンが約9億7千万ドルで、同国の動画配信サービス、トゥイッチ(Twitch)を買収しました。グーグルも名乗りを挙げたというこの買収劇の背後には、動画配信のプラットフォームを巡る争いがあります。そのカギを握ると言われているのが、トゥイッチが圧倒的な強みを持つ「ゲーム実況」というコンテンツです。

 その名の通り、ゲームをプレイしながらおしゃべりをする動画なのですが、これが現在、世界的に大きな人気を博しているのです。何しろ動画再生数は料理やダンスなど他のジャンルの投稿と比べても圧倒的。コンテンツ・ホルダーがYouTube内に開設できる「YouTubeチャンネル」では、スウェーデン人のゲーム実況者・ピューディパイ(PewDiePie)のチャンネルが会員登録者数世界一と言われています。この原稿を書いている時点(2014年10月12日)で会員数は3,100万人を突破、昨年運営から配分された収入は約4億円だったそうですが、人気はさらに高まっており、今年はさらに高くなりそうです。

 実は、この「ゲーム実況」は日本でこそ長い歴史のあるジャンルです。今までも、現在の海外のゲーム実況者など比べ物にならない、遥かに高度で手の込んだゲーム実況のコンテンツが作られてきました。既に2000年代の半ばにはゲーム実況は、ピアキャスト(PeerCast)という配信ツールで人気を博しており、ニコニコ動画が登場して以降は次々に個性的なゲーム実況動画が登場してきました。あえて足でゲームを操作する「縛り」をかけてのプレイや、外国人に扮してゲームの実況をする「しゃべり芸」など、さまざまに工夫をこらした傑作が日々現れ、ニコニコ動画の“隠れた”大人気ジャンルに育ったのです。「隠れた」というのは、ゲーム実況は長い間、アンダーグラウンドな文化として存在してきたからです。それというのも、ゲーム画面を映像でうつし、配信すること自体が、ゲーム会社から著作権侵害として告訴される可能性があるからです。