猫の世話は部屋の住人で分担

[写真]生活のあらゆるシーンに猫がいる

 猫たちはいずれも推定5歳。兄弟かどうかは分からない。おにぎりの具にちなんで、「おかか」(オス)、「しらす」(オス)、「うめ」(メス)、「たらこ」(メス)、「しぐれ」(メス)と名付けられた。「猫つきマンション」の実現に力を貸してくれた人がおにぎり屋さんだからだという。

 リビングにはキャットタワーやキャットウォークが備え付けられ、各居室にも猫用のドアを通じて出入りすることができる。「どの子がどの住人になついているとか、派閥のようなものはないですね。猫同士でも上下関係や相性があるのかと思いましたが、みんな仲良し。猫は群れを作らないので上下関係が薄いんですね」と、住人の一人、Yさん(会社員・30)は言う。

写真]「猫第一」のリフォームでキャットタワーやキャットウォークも設置

 3人+5匹の共同生活でストレスを感じないよう、人懐っこい性格の猫たちが選ばれた。初対面の私にもすぐに甘えてきたし、取材中も「たらこ」や「おかか」がずっとYさんの膝の上を取り合っていたのが印象的だ。Yさんは「出かけようとしても、この子たちが邪魔をしてきて大変です。外出をキャンセルしたこともあるんですよ」と笑う。

 猫の食事やトイレの管理は、原則的に3人の住人が分担して行う。それぞれ生活のサイクルが少しずつずれているので、より分担がスムーズに回っているという。また、藤堂さん、山本さんら『リビングゴールド』と『東京キャットガーディアン』のスタッフも相談事や緊急事態に24時間体制で対応している。

猫を連れていつでも「卒業」できる

[写真]居室内にも猫が出入りする

 募集開始直後から、入居希望の問い合わせが30件近く寄せられた。年齢層は若い人に限らず幅広く、「猫を飼いたいが物件が少ない」「飼ってみたいが経験がなく不安」といった理由でたどり着いた人が多かったという。

 「猫つきシェアハウス」のキモの一つは、気に入った猫の里親になり、そのまま連れて引っ越すことができるということだ。

 「言い方は悪いかもしれませんが、ここで猫を飼う練習をして里親になり、卒業してもらうのが、私たちが思い描く理想的なコースです」と藤堂さん。可能であれば5頭全員連れて行っても構わないし、お気入りの1頭だけでも良い。「練習」だけして後で自分で猫を探すのもアリだ。「住人同士取り合いになってケンカするくらいになればいいね、と山本代表は言っています(笑)」。当面は5頭を定員として、卒業した分を補充しながら回す予定だ。

 Yさんの入居理由も「練習」のためだ。「もともと猫は大好きなのですが、家族にアレルギーがあって飼うことができませんでした」と、実家を出る機会に猫を飼おうと決めた。「でも、具体的に調べてみると飼える物件は非常に少ないし、初めてなので不安もあった」という。やがて『東京キャットガーディアン』のHPに行きつき、もともと保護猫を検討していたこともあり、最終的に入居を決めた。

 入居後1か月。5頭それぞれに愛着があり、Yさんは連れて行く猫を決められない。このままみんなと一緒にシェアハウスに住み続けたい――。そんな嬉しいジレンマに陥っている。夜はちょっと気難しい「しぐれ」と1対1で寝る。猫同士の付き合いが苦手な彼女のため、安心して寝られるようにと世話役を買って出た。