[写真]12月3日の米議会下院で開かれた公聴会出席したタカタの清水博品質 保証本部シニアバイスプレジデント(右)(ロイター/アフロ)

 タカタのエアバッグシステムに起因するリコール問題で、自動車の安全性に注目が集まっている。今回、このタカタのケースを追いかけてみて、自動車メーカー、サプライヤー、ユーザー三者の根本的な関係の部分に問題の原因が潜んでいるように思った。

 今回の一連のリコールで指摘されている問題についてはすでにご存じの方も多いと思うが、まずはエアバッグの仕組みと今回のリコール原因から始めよう。

エアバッグの動作原理

[画像]いまやエアバッグは必須の装備。シートベルトの補助をして死傷率を低減させる役割を担う。安全のための装備が乗員に損傷を与えるようなことは起こってはならない

 エアバッグとは、事故の際、袋状のクッション材に急速にガスを充填して膨らませ、乗員の頭や体がステアリングなどにぶつかる衝撃を和らげる仕組みである。

 エアバッグシステムは、主に衝突センサー、ECU(コンピューター)、インフレーター(ガス発生装置)、バッグの4つの要素からなる。その動作は、車両に設置されたセンサーが衝撃を検知し、ECUがエアバッグを必要とする事故かどうかの判断をして、インフレーター(ガス発生装置)に点火指示を出し、インフレーター内部で燃焼したガスが一気にエアバッグを膨らませるという順番で行われる。

 と書くと極めてのんびりした話なのだが、検知から乗員の衝突衝撃を終えてバッグがしぼむまでの全ての行程はわずか0.12秒で行われる。瞬きする位の間だ。

 この0.12秒を更に細かく見ていくと、インフレーターの着火からエアバッグが開き切るまでの間は0.02秒。そのためにインフレーター内部では火薬などの急速燃焼が行われる。エンジニアの言葉では燃焼だが、普通の日本語では爆発と言った方が解り易いだろう。

不具合の内容は一つではなかった

[画像]ホンダが世界に先駆けて量産採用した二輪用エアバッグのインフレーター。金属製の筒に燃焼材が収められ、点火のための配線が取り付けられている

 インフレーターのケースは、当然この瞬間的爆発の高圧に耐えられなければ機能しない。今回のタカタのケースではインフレーターの異常ということまではっきりしているが、自動車メーカー各社からの国土交通省への届け出を子細に見ていくと、インフレーターの何がどう異常かについて、原因は一つだけではないことがわかる。

 届け出を内容別に分けて行くと、一番多いケースは2000年から2003年までの国産メーカーから提出されたもので、燃焼材の異常や除湿不足により、爆発圧力が設計値を超えて異常上昇し、金属製の圧力ケースが破損して破片が飛散するというものだ。

 近似しているが書き方の違うものもある。輸入車の一部には、高温多湿の環境下でインフレーターに湿気が入りこみ、爆発圧力が設計値を超えるとある。タカタは米国で「高温多湿の地域でのリコールを優先する」と答弁していることからも、おそらく既述の国産メーカー届け出にある「除湿不足」と同内容と考えられる。

 しかし、どうみても原因が別のものもある。例えばニッサンのキューブとマーチについての記述を抜き出してみる。以下届け出書類の原文である。

「運転席用エアバッグのインフレータ(膨張装置)において、エアバッグ膨張ガス流路を形成している仕切り板に異品を組み付けたものがある。そのため、エアバッグ展開時にインフレータ内圧が異常上昇し、インフレータ容器が破損して飛び散り、乗員が負傷するおそれがある」

 このリコールは2008年から2012年の比較的新しい車両が対象だ。文章を読む限り、仕切り板の加工ミスか、部品の取り違えが疑われ、その結果ガスの通路が設計値より狭いか、詰まってしまっているということになる。こちらについてはインフレーターが破損して破片が飛散するという結果は同じであっても、そこに至る原因が全く異なるため、高温多湿のエリアでなくても破裂の危険は当然ある。

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