[写真]中込委員長から報告書を受け取る渡辺朝日新聞社長(左)=22日午後5時50分ごろ、都内(堀江正俊氏撮影)

 朝日新聞社は22日、自社の慰安婦報道をめぐる第三者委員会(委員長・中込秀樹元名古屋高裁長官、弁護士)の報告書を公開した。

 第三者委では、太平洋戦争中、済州島において、吉田清治氏が、いわゆる慰安婦とする目的の下に多数の朝鮮人女性を強制連行したとする証言(吉田証言)を取り上げた、朝日新聞の1982年から1997年までの合計16本(2014年にすべて取り消し)の記事を作成した経緯などどを検証した。

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吉田清治氏の証言を報道したことについて

 朝日新聞が、吉田証言を基にした報道を行ったことについて、第三者委は、吉田証言に関する各記事の前提となる取材経過を見ると、その取材方法は吉田氏の発言の聴取にとどまっており、客観的資料の確認がされたことはなかった」と指摘。

 「吉田証言は戦時中の朝鮮における行動に関するものであり、取材時点で少なくとも35年以上が経過していたこと、裏付け調査が容易ではない分野のものであることからすると、吉田氏の言動に対応しての報道と見る余地のある1980年代の記事については、その時点では吉田氏の言動のみによって信用性判断を行ったとしてもやむを得ない面もある」としながらも、「そのような証言事実はあり得るとの先入観が存在し、裏付け調査を怠ったことに影響を与えたとすれば、テーマの重要性に鑑みると問題である」とした。

 また、この種の記事は、「事件事故報道ほどの速報性は要求されないこと、裏付け調査がないまま相応の紙面を割いた記事が繰り返し紙面に掲載され、執筆者も複数にわたることを考え合わせると、後年の記事になればなるほど裏付け調査を怠ったことが問題であることを指摘せざるを得ない」と指摘した。

 そして、「済州島へ取材に赴くなどの対応をとることもないまま、吉田証言の取扱いを減らすという消極的な対応に終始した。これは読者の信頼を裏切るものであり、ジャーナリズムのあり方として非難されるべきである」と批判した。

軍が関与したとする報道について

 1992年1月11日付記事について、「朝日新聞が報道するタイミングを調整したかどうかはともかく、首相訪韓の時期を意識し、慰安婦問題が政治課題となるよう企図したことは明らかである」とした。

 この記事に対しては、「過去の朝日新聞の記事等と相まって、韓国や日本国内において慰安婦の強制連行に軍が関与していたのではないかというイメージを世論に植え付けたという趣旨の批判もあるが、記事には誤った事実が記載されておらず、記事自体に強制連行の事実が含まれているわけではないから、朝日新聞が本記事によって慰安婦の強制連行に軍
が関与していたという報道をしたかのように評価するのは適切でない」と指摘している。

 もっとも、記事中の「『従軍慰安婦』の用語説明メモが不正確である点は、読者の誤解を招くものであった。用語説明メモは、当時は必ずしも慰安婦と挺身隊の区別が明確になされていなかったと解されることを考慮しても、まとめ方として正確性を欠く」と付け加えている。

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