競技改革に休みはない。写真は会場となった代々木第二体育館 (写真:アフロスポーツ )

 リオデジャネイロ五輪出場へつながる最初の日本代表選考会、レスリングの天皇杯全日本選手権が12月21日から23日まで開催された。一度は、IOCの理事会で五輪の中核競技から除外、存続の危機を迎え、懸命に署名活動やロビイングを行って、存続を勝ち取ったことがまるで遠い思い出のように語られている。だが、本当に除外の危機は去ったのか。全日本選手権での試合を見る限り、まだ五輪競技として未来永劫と存続できるかどうかについては、まるで綱渡りのような状態が続いていると思わざるをえない。

 五輪の中核競技から除外されたとき、様々な原因があげられていたが、そのなかに「観戦しづらく分かりづらいスポーツ」という点があった。五輪存続運動の中で、それらの問題点も解決へ向けて行動していると喧伝されていたが、実際にその精神は続いているのか。残念ながら、リオ五輪のかかった真剣勝負の場では、その危機感を忘れてしまったのかと感じる、いくつかの場面に出くわした。

 とにかく消極的な態度で試合に臨む選手が目立った。レスリングは攻撃すること、技をかけることが高く評価される競技だが、失点をしたくないあまり自分からは何もしないという試合展開がたびたび見られた。マット上で対戦する二人の選手が、二人とも消極的な態度を取るようでは、観ている側からは体を密着させて揉み合って膠着しているだけ。それが延々と6分間も続くのだ。

 階級によっては、決勝戦で格闘技とは言えないような試合も行われた。
 この様子には、選手のセコンドについているそれぞれのコーチも、代表コーチも不満を隠さない。
「優勝してもあんな内容じゃ話にならん」
「攻めて点を取ったほうが試合は楽なはず。なんでわざわざ、あんなしんどい試合をするのかまったく理解できない」
 等々、選手に酷評をぶつけていた。選手も、その叱責に泣き出したりする様子が見られたので消極的な試合をしてしまったことへの罪悪感はあるようだ。次回は改善されると期待したいのだが、良くなる可能性はあるのだろうかと不安が残る。