ボクシングの3大世界タイトル戦(12月30日、東京体育館)の調印式及び記者会見が28日、都内のホテルで行われ、前WBC世界ライトフライ級王者、井上尚弥(21歳、大橋)の挑戦を受ける、伝説の王者、WBO世界Sフライ級王者、オマール・ナルバエス(39歳、アルゼンチン)が使用グローブの色を赤から黒へと変更を求めるハプニングがあった。

 近年、エンターテイメント性を高め、ジャッジの判定をわかりやすくするために、王者と挑戦者のグローブの色を変えることが珍しくなくなってきたが、そのカラーは、主催者側が決める。まず挑戦者の井上が「気分で決めた」と黒を選び、王者のナエバレスは、当初赤だったが、グローブチェックの最中に、ナルバエス陣営がクレームをつけた。
「同じ条件で2人が戦うのが理想。黒は見にくいが、赤は見やすい」と、ナルバエスはグローブ変更を求め、井上陣営も了承、両者共に黒のグローブを着用することになった。

 「チャンピオンとしての意見を言ったまでだ」
 43戦してわずか1敗。その黒星も、3年前に体格差のあるスーパーチャンプ、ノニト・ドネアに判定で敗れたもので、12年間ベルトを守り続けている伝説のボクサーは、さらっと言った。だが、見方を変えれば、それほどの王者が黒と赤のグローブの色の差から生まれる見え方の差に神経質になるほど、井上を警戒しているということ。ナルバエスは、「井上には若いという印象がある。大きな未来が待っているだろう。彼のボクシングスタイルは好きだし、テクニックもある」と王者らしい風格を持って井上を持ち上げたが、本音は違うのだろう。
 
フライ級王座を16度、Sフライ級王者は11度防衛中だが、それらの試合は、すべて、アルゼンチン国内で行ってきた“内弁慶チャンプ”。「日本で試合をするのが長年の夢だった。その場所で勝って輝きたいと思う」と言うが、海外での初の防衛戦に不安も抱えている。そういう心理状態が、珍しいクレームにつながったのかもしれない。