2014年は為替が大きく動いた年でした。前半までは1ドル=100円台前半で推移していましたが、年の後半から一気に円安が進み、日銀の追加緩和によって、とうとう120円台まで下落しました。

 市場関係者の多くは、相場的な要因で円高に戻すことはあっても、基本的なトレンドは円安と見ているようです。中には、1971年に変動相場制がスタートして以降、40年にわたって続いてきた長期の円高トレンドが大転換しており、早いタイミングで1ドル=130円に達する可能性があると指摘する人もいます。

[写真]円安が進んだ2014年、15年はドル円130円台はあるのか?(ロイター/アフロ)

 為替を変動させる要素は様々ですが、為替レートとの相関性がもっとも高いといわれているのが、その国の物価水準です。基本的にモノの値段は一物一価が原則となっています。例えば同じスマホなのに、日本で買うと安く、米国で買うと高いということは通常はあり得ません。もしそのような状況が放置されていれば、日本で買って米国で売ることによって簡単に利益を上げることができてしまいます。多くの人がこの取引に殺到しますから、結果的に価格差は消滅してしまうわけです(裁定取引)。

 片方の国の物価が一方的に上昇して製品価格が上がる状況となった場合には、一物一価の状況を維持するために、今度は為替レートの方が動くことになります。物価が上がっている国の為替レートは安くなり、物価が上がっていない国のレートは高くなります。日本と米国を比較すると、変動相場制へのシフト以降、一貫して米国の物価上昇率の方が高く推移してきました。このため為替相場は過去40年間、多少の上下はあるにせよ、円高ドル安で動いてきたのです。

 しかし、このところの円安は過去40年間のトレンドから大きく外れた動きを見せています。日本の物価は本格的に上昇を始めたわけではありませんが、アベノミクスによって、多くの投資家が日本の物価上昇を予測しています。為替レートはすでにインフレを織り込んでいると考えた方がよいでしょう。

 物価以外にも、金利差や経常収支の動向、マネタリーベースなど、為替を動かす要因がいくつかあるのですが、多くが今後のドル高を示唆しています。

 米国は景気の回復によって来年半ばの利上げが見込まれているのですが、これは円売りドル買いを誘発することになるでしょう。経常収支の動向も同じです。米国はシェールガスの開発が進んだことにより、近い将来、エネルギーの自給が可能となるのですが、これによって、中東からの原油の輸入が減少し、経常収支が大幅に改善する見込みだからです。こうした一連の材料から、基本的には円安ドル高の流れが定着する可能性が高いという解釈が成立することになります。

 もっともシナリオ通りに動かないのが相場でもあります。このところ原油安が進んでいますが、これが行き過ぎると日本の物価上昇を抑制してしまうかもしれません。また円安であることを見越した投機資金はどこかのタイミングで利益確定を行うことになりますが、この動きが集中すると思わぬ円高を招く可能性もあります。いずれにせよ、2015年の為替市場が要注目であることは間違いありません。

(大和田 崇/The Capital Tribune Japan編集長)

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