2015年はアベノミクスにとって正念場の年になるといわれています。総選挙で与党が圧勝したことで、アベノミクス路線は国民から支持されたものの、足元の物価上昇率は鈍化が続いており、今年はその傾向がさらに顕著になる可能性が高いからです。

[写真]物価目標達成へ強い決意を示す黒田日銀総裁(2014年11月5日撮影、提供:ロイター/アフロ)

 12月26日に発表された11月の消費者物価指数を見ると、物価上昇のスピードがかなり落ち込んでいることが分かります。代表的な指標である「生鮮食品を除く総合(コア指数)」は前年同月比でプラス2.7%にとどまりました。9月は3.0%、10月は2.9%でしたから、月を追うごとに上昇幅が縮小しているわけです。しかも、9月と10月は0.1%ポイントずつの下落だったのですが、11月については0.2%ポイントの下落となっています。12月の数字を見なければ確かなことは分かりませんが、上昇スピードの鈍化がより顕著になっているようにも見えます。日銀では消費税による物価への影響について2%程度と見ていますから、消費税の影響を差し引くと、物価上昇率はわずか0.7%ということになります。

 これに拍車をかけているのが、原油価格の大幅な下落です。原油価格はここ半年で50%以上も下落し、市場はちょっとした混乱状態となりました。原油価格が下がることは、石油の消費国である日本にとって基本的にプラスに作用するのですが、一方で、消費者物価を下落させる作用も持っています。

 日銀が量的緩和策を実施して以降、日本の物価は上昇に転じているものの、そのほとんどは円安による輸入物価、特にエネルギー価格の上昇に支えられています。このまま原油安が継続すると、場合によっては今年の前半に物価がマイナスとなってしまう可能性もあります。

 こうした状況を受け、市場では、早くも2回目の追加緩和を期待する声が上がっているようです。しかし、日銀としては、市場からの圧力で追加緩和を余儀なくされるというシナリオだけは避けたいところでしょう。市場の期待とは裏腹に、しばらくの間、日銀は再度の追加緩和について慎重な姿勢を貫くことも考えられます。

 専門家の一部からは、原油価格下落の影響を除外するため、エネルギー価格を含んだ物価目標を撤回し、エネルギーを含まない消費者物価指数を採用した方がよいとの意見も出ているようです。しかし金融政策の一貫性という観点では、このやり方は選択しにくいかもしれません。当分の間、原油価格とのにらみ合いが続くことになります。

(The Capital Tribune Japan)

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