#01 「少年兵との出会い(モモ・その1)」

司令官が出撃の合図をだすと、政府側の民兵たちが次々と銃を構えて橋を渡りだした。ヒュン、ヒュンと、風を切る音をたてながら、機関銃の弾が頭上をかすめていく。そんな混沌のなか、だぶだぶの迷彩色のジャケットを身にまとい、銃を振りかざしながら一人の少年が歩いてきた。強がっているのか、他の兵たちのように身を伏せるでもなく、背筋をピンとのばしたままこちらに向かってくる。僕はカメラを構えて、彼に焦点をあわせた。その時だった。
「写真をとるな!」
ファインダーに映ったこの少年が、撃つぞといわんばかりのえらい剣幕でどなりだした。「少年兵」の存在は国際社会から非難を浴びていたから、彼も自分が戦っている写真を撮られるのを嫌がったのだろう。僕は素早く一枚だけシャッターをきって、顔から離したカメラを頭上に持ち上げた。
これが13歳の少年兵、モモとの出会いだった。
(2003年7月)

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