一度は経営危機を脱したかにみえたシャープが再びピンチに陥っています。主要取引銀行に1500億円の支援を要請する方向ですが、先行きは不透明です。市場関係者の一部からは、昔のシャープに戻らなければ、再生は難しいのではないかとの声も聞かれます。昔のシャープとはいったいどんな会社だったのでしょうか。

[写真]液晶に対する負の遺産が重すぎ、簡単には舵を切れない状況に(ロイター/アフロ)

 現在のシャープは液晶デバイスを中心とした巨大な半導体メーカーであり、液晶への巨額投資が経営の足を引っ張っています。しかしシャープはもともとこのような企業ではありませんでした。

 シャープの歴史は古く1912年(大正元年)に早川徳次氏が創業、1970年に前社名の早川電機工業という名前からブランドネームであるシャープに変更しています。同社最初のヒット商品で、同社が飛躍するきっかけになったのは「早川式繰出鉛筆」というものなのですが、この英語名称は「シャープペンシル」です。わたしたちがよく知る金属製シャープペンシルの原型は実は同社が開発したものだったのです。金属製シャープペンシルは米国で大ヒットし、これが同社の基礎を築きました。

 その後シャープは家電やエレクトロニクスの分野に進出しますが、何と言ってもシャープの名前を世界に知らしめたのは電卓でしょう。

 1970年代、電卓は最先端の技術であり、多くのメーカーがこの分野に進出して激しいシェア争いを演じました。俗に言う「電卓戦争」ですが、シャープはカシオと並んで、その電卓戦争の覇者となりました。電卓に使われたマイクロプロセッサの技術はのちにインテル社がパソコン用のMPUに応用するなど非常にユニークなものでした。また、日本で初めてターンテーブル式の電子レンジを開発したほか、現在のiPhoneとよく似たコンセプトの商品「ザウルス」を投入するなど、時代の少し先を行く、独創性の高い製品を開発してきたメーカーであることが分かります。同社は「目の付けどころがシャープでしょ」というキャッチコピーを採用していましたが、これは同社が持つ特徴をよく表しているのです。多くのメーカーが化学的方法を模索する中、同社は、物理的にイオンを発生させて消臭を行う「プラズマクラスター」を開発しましたが、まさにシャープらしいユニークなヒット商品といえるでしょう。

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