非正規社員ばかりが増加するというこれまでの流れに変化の兆しが見られるようになってきました。一方、正社員の残業時間が増える傾向も見て取れます。日本の雇用と働き方はどうなっているのでしょうか。

[写真]「時給1500円に」と訴えるファストフード店員ら(2014年5月、アフロ)

 総務省がまとめた最新の労働力調査によると、2月の完全失業率は3.5%と前月から0.1ポイント低下しました。昨年の2月は3.6%、一昨年の2月は4.3%ですから、人手不足を背景に、着実に雇用が改善していることが分かります。また雇用の中身にも変化の兆しが見られます。これまで一貫して非正規社員が増加するという傾向が続いてきましたが、2月の非正規社員数は1974万人と、前年同月と比較して15万人の減少となりました。一方、正社員は58万人増加しました。若年層を中心に企業の人手不足が深刻化していることから、正社員への転換を進めた企業が多かったことが分かります。

 雇用が増えるのはよいことですが、働き方という点ではまだまだ気になる点があります。厚生労働省の毎月勤労統計調査によると、2014年の1カ月あたりの総労働時間は145.1時間となっており、前年比で0.3%減少しました。このうち就業規則で定められた時間における労働時間(所定内労働時間)は全体の数値と同様に減少しているのですが、所定外労働時間、つまり残業時間は3.8%も増えています。残業時間は実はここ20年で全く減っておらず、2007年を除くと過去20年で最長を記録しています。

 これは正社員の減少と非正規社員の増加に関係している可能性があります。コストが安い非正規社員への切り換えを進めたものの、非正規社員でカバーできないところは、正社員が残業で対応している可能性があるからです。今後、正社員の増加が進むと、この傾向も変化するかもしれません。

 しかし、残業時間が正社員と非正規社員の比率のみで増減するというのは少々おかしな話です。日本はすでに成熟国となっており、大きな需要に対してひたすら大量生産で供給する時代ではありません。本来であれば、付加価値の高い業態に切り替え、短時間の労働でも高いアウトプットを出していくための工夫が必要となるはずです。

 よく知られているように、日本企業の生産性は諸外国に比べて低くなっています。これは雇用を最優先し、一人でできる仕事をわざわざ2人で行っているという側面が強いのですが、生産性が低いままでは、日本人の賃金は上昇しません。付加価値の高い産業を育成し、賃金上昇と雇用維持の両方を実現しないと、労働者の生活水準は向上しないでしょう。

(The Capital Tribune Japan)

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