グリエル問題や抑え不在などで前評判の高くなかった横浜DeNAがセ・リーグの単独首位に立っている。その春の珍事とも言える快進撃を引っ張っているのが、チーム打率(.287)、チーム得点(52)でリーグトップに立っている打線。バルディリスが首位打者で打点部門もトップ。打撃10傑には、バルディリス、石川雄洋、筒香嘉智の3人が入っている。中でも存在感があるのが、中畑監督から「143試合4番」と宣言されている筒香だ。

 7日の阪神戦では、3安打2打点、9日の阪神戦でも筒香の二塁打が均衡を破る先陣となった。とにかく筒香の打球は「音が違う」と評判だ。開幕カードの巨人3連戦では、巨人のエース、菅野から今季1号を放ち、第2戦では東京ドームの特大看板に当てて100万円をゲットした。まだ開幕12試合だが、23歳の筒香には4番の風格と覚醒の予感が漂っている。中畑監督も「筒香には、みんなが打ってほしいところで打てる空気ができてきた」と言う。

 昨季も得点圏打率トップを獲得していた推定年俸4600万円の4番の好調理由はどこにあるのか? 気は早いが本塁打王獲得の可能性はどうなのか?

 ルーキーの頃に筒香を沖縄のキャンプ取材で見て「とんでもない大物が入ってきた」と興奮気味に話をしていた評論家で阪神DCの掛布雅之氏は「やっと自分の形ができてきたのではないか」と言う。

「結果の出ていなかった頃の筒香は、見るたびに打撃フォームが変わっていた。ケン・グリフィージュニアを真似していたようなときもあったが、昨年から自分のフォームが固まりつつある。左手を押し込むのではなく、軸の回転でインサイドを打つことができている。右足の踏み込みが鋭く、その返りで右膝の内側にしっかりと壁が作れているので崩されていない。
 センターから左方向への打球を練習では意識していると聞くが、おそらくヘッドが走るから扇のように幅広くボールを芯で捉えることができるのだろう。間違いなくレベルは上がった。昨年は、故障アクシンデントで途中離脱したが、得点圏打率ナンバーワンを含めた成績を残した。
 その自信に加えて、中畑監督がキャプテンに指名したことで責任感も生まれた。そういうものが、筒香をひとつ吹っ切れさせたのではないだろうか。ホームランタイトルを獲得する可能性も十分あるが、各球団をひと回りした先からはマークがきつくなってくる。そこをどう乗り越えるか」

 昨季は、夏場に守備で味方と激突して脳震盪。その影響で戦線を離脱したが、最終的に打率.300、22本、77打点の成績を残した。中畑監督は、筒香をキャプテンに指名すると共に「全試合4番」を宣言。キャンプでは、元巨人、ヤンキースの松井秀喜を視察という形で3日間呼んだが、筒香への刺激が、その大きな目的のひとつだった。中畑監督は「3割、30本、100打点」をノルマとしたが、決して無理な数字ではないように感じる。