[写真]THAADの韓国配備などが懸案となる中、4月10日に会談した韓国の韓民求国防相(右)と米国のカーター国防長官(ロイター/アフロ)

 アメリカが、韓国国内に弾道ミサイル迎撃用「THAAD」ミサイル配備する意向を持っていると報じられたのは、昨年の5月でした。既に現地調査も完了していると報じられ、その後は、米韓両国の防衛当局者の間で非公式の協議が続けられていました。これに対して、中国などの反対は伝えられていましたが、非公式の協議だったこともあり、昨秋以降、配備決定は間近だとも報じられていました。しかし、2月に入り、韓国の防衛当局者が、昨年7月の韓中首脳会談において、習近平国家主席が朴槿恵大統領に対して、THAAD配備に反対するよう要望したことが伝えられると、韓国では、にわかに配備の是非が議論されるようになりました。

 結果として、中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)加入問題と併せ、韓国では中国につくのか、アメリカにつくのかというサンドイッチ論争が巻き起こっています。

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配備候補地のほとんどが日本海側

 韓国が、決定直前とみられていたTHAAD配備に対し、急に慎重になった最大の理由は、斜陽するアメリカより、隆盛する中国に乗ろうという中国便乗論からです。また、一時期、THAADをアメリカが配備するのではなく、韓国に買わせる、という話もでていたことから、費用負担に対する懸念もあるようです。

 しかし、韓国・時事INは「米国は日本のために、韓国に高高度防衛ミサイル(THAAD)を配備するのか」と題した記事を掲載し、THAADは日本防衛用だと論評しています。

 その論拠は、現在伝えられている配備候補地5か所の内、4か所が日本海側にあるため、韓国の防衛には役立たず、中国やウラジオなどから日本に向けられるミサイル防衛に適しているからだというものです。結果、冷戦時代と同様に、韓国が日本を防衛するための出城の役目を押しつけられていると論評しています。

 韓国でのこの報道は、日本の大手メディアでは取り上げていませんが、中国紙が報じたこともあり、日本国内のまとめサイトでも、不都合なことは何でも日本のせいにしたがる反日感情の成せる技だとして話題になっています。

 しかし、この報道は、嘘から出た真ならぬ、被害妄想から出た真であるかもしれません。