[写真](c)AFPBB News

 子どもの頃から、歌うことが好きだった少年は、学生時代に所属した合唱団での経験を花開かせるべく、声楽家を目指す。少年はいつしか青年へと成長し、ある日、友人のすすめで劇団のオーディションを受けたことから、人生が大きく変わり始める。その後1973年、劇団四季の『イエス・キリスト=スーパースター』で主役として鮮烈なデビューを果たす。それが、「役者 鹿賀丈史」の始まりだ。現在公演中の舞台『デスノート The Musical』でも好演するが、映画デビューの際には自身と1歳違いの松田優作に刺激を受けたという。そんな鹿賀の横顔に迫る。

良い作品との出会いで役者は人生変わる

 「良い作品、素晴らしいスタッフとの出会いによって、僕ら役者は人生そのものが大きく変わるんです」。これまで数々の舞台や映画、ドラマなどで演技に磨きをかけ、思い出深い作品は数多くある。

 43年の役者人生のなかで転機となった作品について、「デビュー作の『イエス・キリスト〜』と、越路吹雪さんが座長を務めた舞台作品、そして松田優作さん主演の映画『野獣死すべし』。ほかには舞台『トーチソング・トリロジー』に『ジキル&ハイド』、そしてテレビ『料理の鉄人』かな」

 そう語る鹿賀は、現在公演中の舞台『デスノート The Musical』との出会いもまた自分にとって大きな意味を持つという。「60歳を過ぎてこの作品を出会えた事に幸せを感じる」とも語る。

映画から舞台へ進化した「DEATHNOTE」の魅力とは

 世界累計発行部数3000万部を超える超人気漫画「DEATHNOTE」は、2006年に映画作品が公開。その人気は過熱し勢いは国内にとどまる事なく、香港、台湾、韓国などアジアにも広がった。この作品で鹿賀は、映画とミュージカル両方において、夜神月の父で警視庁刑事局局長の夜神総一郎を演じている。

 漫画からスタートした本作は、映画から舞台へと進化。4月いっぱい東京・日生劇場で公演した後、5月には大阪・梅田芸術劇場、愛知県芸術劇場で公演、6月からは、韓国版公演も決定している。今回の舞台では、役者はもとより、演出や音楽などにおいても優秀なスタッフが勢揃いしている。

 キャストの豪華な顔ぶれも今回の舞台では、魅力の一つだ。夜神月役を演じるのは、ミュージカル界の若手演技派俳優 浦井健治、柿澤勇人の2人。対峠するL役に小池徹平、脇を固める名優たちには死神レム役に濱田めぐみ、死神リューク役には吉田鋼太郎らが名を連ねる。またなんといっても今作で注目したいのは、演出だろう。手がけるのは、これまで数々の賞を受賞し、2012年には紫綬褒章を受賞した日本を代表する演出家、栗山民也だ。

 「栗山さんのこだわりで、とにかく無駄がない舞台なんです。美術もとにかくシンプルで、装飾らしい装飾はあまりありません。舞台の上には、役者と照明と音楽。石が1個だけあるような、そんな極限まで削ぎ落とした空間も新鮮ですよ。それは観ている人にとっても同じだと思います」。鹿賀が言うように、より一層、想像力を掻き立てられるような演出は一見の価値がある。「ミュージカルは、少し大げさで、わかりやすいものだと思って観に来られたお客さんは驚かれるかもしれませんね」