[写真]統一地方選前半戦の投票率は低調。道府県議選の平均投票率は、50%に届かない府県が3分の2を超えた。(アフロ)

 4月12日に行われた統一地方選前半戦では、10道県で知事選が行われた。北海道と大分県をのぞき、与野党対決は見られなかった。国会では対立している与野党は、なぜ地方では協力するのか。内山融・東京大学大学院教授に解説してもらった。


 去る4月12日に行われた統一地方選前半戦では、10道県で知事選が行われた。北海道と大分県では、自民・公明の与党が推す候補と野党民主党が推す候補とが対決したが、それ以外の県では与野党対決は見られなかった。神奈川、奈良、福岡などの6県では自民と民主がともに現職候補を支持し、三重と島根では民主が独自候補の擁立を見送った。

 与野党は国会では対立しているのに、なぜ地方では協力することが多いのだろうか。今回の知事選で同一候補への相乗りが目立った理由は次のようなものだと考えられる。

 まず、今回の相乗りがすべて現職知事であり、しかもその全員が再選されたことが示すように、知事選では基本的に現職が有利になる。現職知事はさまざまな場で県民の目に触れるため、知名度が抜群である。その上、豊富な実務経験を持ち、安定感があると評価されやすい。このため、よほど有権者からの評判が悪ければ別だが、現職知事が出馬していれば当選可能性は極めて高い。勝てる見込みのない候補を立てるよりも、確実に勝てそうな候補を支持する方が得だという計算から、民主党も現職知事へ相乗りすることが多くなる。

 次に、国と地方の関係が中央集権的になっていることも指摘できる。多くの自治体は、財源のかなりの部分を国に依存している。地方分権が進んできたとはいえ、許認可などの権限についても国の制約がまだだいぶ残っている。こうした中央集権的な仕組みのため、財源獲得などの点で国との太い「パイプ」を持っていることが、知事として重要な条件になってくる。実際、今回再選された知事の多くが中央官庁出身であることは、国と強い関係を持っている候補が有利になることと無関係ではない。このため、同じ県の中で対立しているより、協力して有力な候補を推した方がその県のためになると判断されやすい。

 さらに、地方自治体が「二元代表制」となっていることも関係する。国会により首相が選出される国政と違い、地方では首長が有権者から直接に選ばれる。いわば大統領制のような仕組みとなっているため、知事が大きな権力を持っている。そのため、議会としても、知事を支持すれば自分たちの政策も実現しやすい。知事の人気が高い場合は、知事の側に立っていることを示すことは自分たちの選挙にも有利になる。このため、知事が一定の人気を維持している場合は、議会が知事になびきやすい。つまり、どの党も知事を支持する「オール与党」体制になりやすい。実際、初当選の時は政党の推薦を受けていなくても、再選を重ねると政党推薦を受けるようになる知事の例は多い。(たとえば、石原慎太郎・元東京都知事の場合、1999年の初当選の際には自民党と公明党は他の候補を推薦していたが、その後自公両党は石原知事の与党となった。)

 このように、現職知事は、中央と太いパイプを持っていたり、有権者に高い人気を誇っていたりすることが多く、選挙では圧倒的な強さを見せる。野党としても、無理に対抗馬を立てるより「勝ち馬に乗る」方が得になると判断し、相乗りにいたるのである。