企業の人手不足が深刻になってきています。これに伴ってアルバイトの時給も上昇傾向となっており、先日は、ファストフードのアルバイト店員らが時給1500円を求めるデモを行って話題となりました。一方、スキルの低い仕事に対して高い報酬を支払う余裕はないという厳しい意見も見られます。人手不足はどれほど深刻で、今後、賃金にどのような影響を与えるのでしょうか。

[写真]人手不足が進むとバイトの時給アップは進むのか?(ロイター/アフロ)

 日本では景気がよくなった実感があまりないせいか、人手不足が深刻になっているとは認識されていません。しかし、全体としてみた場合には、日本はかなりの人手不足といってよい状況に陥っています。

 2月の完全失業率は前月から0.1ポイント低下し3.5%となりました。昨年の2月は3.6%、一昨年の2月は4.3%ですから、雇用は着実に増えたことが分かります。この水準になってくると、マクロ的にはほぼ完全雇用といってよい状況です。

 さらに注目すべきなのは雇用の中身です。これまで非正規社員が増加するという傾向が続いてきましたが、2月における非正規社員の数は1974万人となっており、前年同月比で15万人減少しました。一方、正社員は58万人の増加となっています。若年層を中心に企業の人手不足が深刻化しており、人材確保のため、正社員への転換を進めた企業が多かったことが原因と考えられます。

 日本の就業者数は高齢者の雇用延長が続いていることから、大きくは減少していません。一方、若年層の労働力人口はここ5年で1割も減少しています。全体として完全雇用になっている状態で、若年層が1割も減っているという状況ですから、アルバイトなど一部の職種では、極端な人手不足が起こっているわけです。

 日本の企業は、生産性が低く抑えられており、ホワイトカラーを中心に、実は多くの業界で雇用が過剰であるともいわれています。しかし、ひとたび正社員として雇用されると、よほどのことがない限り、そう簡単に解雇されることはありません。このためアルバイト店員など、比較的賃金が安い労働市場には、学生や、正社員として就職しなかった人など、ごく一部の人材しか出てきません。しかもこうした若年層は年々減る一方です。

 仕事に対するニーズが減らない一方で、実際にその業務に従事できる人が減っているわけですから、景気不景気にかかわらず、アルバイトの時給は今後も上昇する可能性が高いでしょう。

 一方、海外ではむしろ逆の事態が発生しています。経済が絶好調な米国では、失業率の低下が続いていますが、賃金はあまり上昇していません。3月の雇用統計における時間あたり賃金は前月比プラス0.3%と低い伸びにとどまりました。米国では人口が増えていることに加え、業務のIT化が急激に進んでいることから人材が余り気味となっています。このため、好景気であるにもかかわらず賃金が上昇しないという皮肉な結果となっています。

(The Capital Tribune Japan)