使いようによっては無限の可能性があるドローン 2014年9月 ドイツ家電見本市より(写真:ロイター/アフロ)

 4年に1度のワールドカップを9月に控えるラグビー日本代表は、今春から練習に話題のドローンを活用している。カメラをつけた無人小型飛行機で、上空から各選手の細かい動きを把握。持ち前の攻撃スタイルの高質化を目指すしている、

 ワールドカップでは24年間も勝っていない日本代表を、同大会の準々決勝へ導きたい。そのためにできることは文字通り、全て、やる。それがプロフェッショナルの指導者、エディー・ジョーンズヘッドコーチ(HC)の基本指針である。4月下旬は候補選手の大半を連れて開催地のイングランドへ赴き、試合会場の芝の状態や宿舎の環境を視察した。

 その姿勢は、グラウンドでも貫かれる。遡って6日から宮崎で始まった合宿では、練習場の上空に1台のドローンが飛ぶようになった。採用を提案したのはジョーンズHC。旧知のコーチがフランスで使っていると知ったためだ。中島正太アナリストがリモコンで操縦し、モニター画面を観ながらカメラの位置を微調整。録画データはミーティングの材料になっている。

 日本代表は、とにかく休まないことを是としている。素早くシェイプ(型)を作る。複数の選手が他角度からパスを受け取りに走る。ランナーがぶつかる。周囲はまたシェイプを作る…。その繰り返しだ。

 その意味でドローンは、スタイル浸透への助け舟となろう。芝の上の全選手の動きをつぶさに撮影。それを見返した首脳陣が、「あのシーン。この選手が休んでいた。もっと勤勉に」と発破をかけられるからだ。

「官邸に落ちたのは、我々のドローンではありません。我々のドローンは安全です」

 30日、都内の日本ラグビー協会。ドローンが首相官邸へ落下したニュースをジョークに変え、ジョーンズHCはこう語るのだった。

「いま重視していることは、ボールを持っていない選手の動きです。ドローンを使うことによって、全ての選手の動きが見えます。有効に使っています」

 フルバック五郎丸歩副将は周りを笑わせる。「いままで死角になってさぼれていたところが、さぼれなくなった」。練習映像のレビューが、翌日以降の練習に活かされやすくなるのでは、と分析したのだった。

「かなり広角に観られていて、映らないところがないくらいに映っている。僕らがそれを観てどうこうすることはないですけど、スタッフが全体を見渡したなかで、戦術や足りないものを(以後の)練習で落とし込める。その意味では、かなりいいものだと思います」