賃上げの実感が持てない人もまだまだ多いですが、日本人の貯蓄額は着実に増えているようです。ただ、高齢者や高所得者の伸びが大きくなっており、富の偏在化も進んでいます。

 総務省は19日、2014年における家計調査の結果を発表しました。1世帯(単身世帯を除く)が保有する預金や株式など金融資産の平均額は1798万円となり過去最高額を更新しました。2013年は、アベノミクスによる株高の効果で、貯蓄額は4.9%という大幅増となりました。今回は3.4%増ですから、昨年ほどではありませんが、アベノミクス効果は継続しているようです。

 資産の増加割合が最も大きかったのはやはり株式で、前年比8.7%の増加となりました。国民の多くが何らかの形で株に投資をしている米国とは異なり、日本の場合、株式投資を行っているのは、一部の富裕層だけです。貯蓄額が400万円から600万円の世帯における有価証券はわずか3%ですが、3000万円以上の世帯では19%に達しています。貯蓄が多い世帯は、余裕資金を株式に回すことが可能となり、これが資産額の拡大に寄与したと考えてよいでしょう。

 もっとも、有価証券だけが大幅に増えた前年とは異なり、今年は定期預金の金額も増えています。明確な理由は不明ですが、株式や不動産を売却した人が、そのお金を定期預金に入れた可能性が考えられます。その意味では、株高の流れが一段落したのかもしれません。

 高齢者も貯蓄額を増やしています。50歳以下の世帯は貯蓄額がマイナスですが、50~59歳の世帯は4.3%、60~69歳の世帯は4.2%の増加となりました。40歳未満の貯蓄額が562万円なのに対して、70歳以上では2452万円です。また、世帯主が60歳以上の世帯で2500万円以上の貯蓄を持つ割合は、3分の1に達する状況でした。やはり現実問題として高齢者への富の偏在は大きいと考えるべきでしょう。

 これらのデータは皆、平均値なのですが、金額の大きい人が全体の数字を引き上げてしまう可能性があります。場合によっては、平均値ではなく中央値を見た方が実感に近くなるケースも少なくありません。

 中央値は、金額の低い世帯から高い世帯に並べ、ちょうど中央となった金額のことを指しますが、貯蓄金額における中央値は1052万円となっています。2013年との比較では中央値も2.8%の増加となっていますから、全体的に貯蓄が増えていることは間違いないでしょう。

(The Capital Tribune Japan)

この記事が気に入ったら「いいね!」をお願いします