ゴールも決めチームを牽引した本田(写真:伊藤真吾/アフロスポーツ)

 ハリルジャパンは11日、イラクとの強化試合で前半と後半で二つの顔を見せた。

 アジアカップでベスト4に入っていたイラクは、世代交代の狭間にあるのか、思ったほどの動きができず、中盤のマークは簡単にはがれ、プレスもかけてこない。そういう相手とのゲームだけに4-0のスコアを額面どおりに受け取るわけにはいかないのだが、ハリルイズムの浸透だけは、随所に見られた。

 ディフェンスラインを押し上げて、長谷部、柴崎のボランチ2人も高い位置でのプレーを心がけ、中盤でボールを奪うと、切り替えを速く、少ないタッチ数でシュートまで運ぶ。そういうハリルの狙いが見事にはまった前半だった。

特に今までと比べて見違える動きを見せたのが本田である。

前半5分、柴崎の浮かしたパスに素早く反応。裏に抜け出して左足でゴール隅へ先制ゴールを流し込んだ。これまで、あんな動きをする本田の代表でのプレーは見たことがなかった。速い展開のサッカーにフィットしていた。ほとんど右ではなく真ん中でプレーしていたが、うまくポストに入りながら、ボールを抑え、周囲をシンプルに使う。攻撃の展開をノッキングさせてしまうような本田の姿は、そこにはなかった。経験値がそうさせたのか、彼の対応能力の高さなのか。
 私は、本田が抱いた危機感が、そうさせたのだと思う。

 ハリルホジッチ監督は、事前の記者会見でも、「海外にいるから自動的に日本代表に入るようなことはしたくない。日本代表は誰にも保証されていない。全員が戦わなければいけない」と語るなど、本田を特別視しないことを強調してきた。これまで本田中心だったチームは、フラットな状態に戻った。しかも、ハリルホジッチ監督が指揮をとった、チュニジア、ウズベキスタンとの2試合では、スピードと運動量を求めるハリルのスタイルについていけず、ピッチで戸惑う姿が見受けられた。だが。本田は、ハリルホジッチ監督が、何を求めているかを、意識の中に溶け込ませ、見違えるようなプレーを見せたのである。

 攻守においての本田のスプリント量も目立った。
 イラクが、何もしなかったおかげで、くさびも入りやすかったのだが、チームのリズムとテンポが非常に良くなっていた。おかげで、押し出されるように、本来、真ん中のポジションだったはずの香川は、すっかり消えてしまっていたのだが……。

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