美人の里として名高い秋田県で、「会える秋田美人」をコンセプトにした「舞妓劇場」を作る計画が浮上している。秋田市で「あきた舞妓」を復活させた会社が、元料亭の建物を使い、常設の舞妓茶屋を作る予定だという。来年までのオープンをめざしている。

[写真]株式会社せんに所属する「あきた舞妓」の千乃葉さん(同社提供)

 常設の舞妓茶屋を計画しているのは、株式会社せん(秋田市)。市内の千秋公園にある使われなくなった元料亭の建物を使い、「あきた舞妓」がお茶や踊りを披露する計画という。茶屋では観光客がお弁当を食べながら舞妓と気軽に触れ合うことができ、「多くの人に秋田の文化に触れてもらえる拠点にしたい」と、社長の水野千夏さん(26)は話す。

 「せん」が「あきた舞妓」を復活させたのは、2014年8月。秋田市中心部の繁華街にはかつて料亭が立ち並び、お座敷を賑わせた川反(かわばた)芸者が数多くいた。しかし料亭が減るとともに年々数を減らし、数年前には現役の芸者はいなくなっていたという。水野さんは教養と文化を兼ね備える川反芸者が、美人の里として知られる秋田を象徴する存在だと考え、「あきた舞妓」として復活させた。「せん」には現在3名の舞妓が社員として在籍しており、ホテルのステージや、行政の観光イベント、料亭のお座敷などで毎日引っ張りだこだという。

「秋田美人に会いたい」を実現

 「秋田美人に会いたいという意見はよく聞くのに、実際に会える場所は少なかった」と水野さん。そもそも水野さんが東京からふるさと秋田に戻って24歳の時に起業を思い立ったのは、秋田には沢山の魅力があるのに「あまりに人が来ていない」現状に危機感を覚えたからだ。実際、観光庁が発表した2014年の都道府県別宿泊者数ランキングで、秋田県は全国39位。東北6県で最下位だ。「秋田に人を呼びこむ仕組みを作りたい。そのためには、秋田でしかできないことをするという、“強い動機付け”が必要」。それが「会える秋田美人」だった。

 いったんは途絶えてしまった川反芸者を「あきた舞妓」として復活させるという水野さんの企画に対して、意外にも協力者はすぐに集まった。皆、何とかしなければならないという問題意識は持っていたものの、「動いてやる人がいない」ことに困っていたのだ。若い水野さんの挑戦する力が、“大人たち”を動かした形だ。
 
 「あきた舞妓」が復活することによって、県外のお客さんを呼んだ際に「秋田にしかない秋田らしい魅力」でお客さんをもてなすことができるようになった。「あきた舞妓」の活動の場はお座敷に留まらず、チャリティーイベントや県のPRイベントでも、秋田の観光振興のため活躍する。

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