相安定化硝酸アンモニウムは安全性に問題ない

 なお当社がガス発生剤に使用している硝酸アンモニウムは、化学的安定化を図った、相安定化硝酸アンモニウムでございます。この相安定化硝酸アンモニウムのメリットはガス化効率が良く、インフレータの小型軽量化が可能になります。化学的に安定しており、製造上も安全であることが挙げられます。また排ガスの安全性も高く、ガス発生剤の材料として安心して使えます。

 相安定化硝酸アンモニウムの化学的性質につきましては理解が確立しており、安全性にもまったく問題がなく、ガス発生剤に適した物質であると考えております。これまでも解析に基づく、フラウンホーファー協会の見解におきましてもガス発生剤に使用しております、硝酸アンモニウムの相変化とそれによる化学的劣化につきましては、今後の要因解析から除外できると考えております。

 さらに出荷されております、インフレータの数と比較いたしますと異常な出力上昇による容器破損事案は、極めて少ない発生数でございます。このことからもβ事案の不具合事象が単一の要因によるものではなく、複数の要因が重なって初めて発生するものであることが推察されております。またフラウンホーファー協会によれば不具合が生じるまでのプロセスの進行速度は非常に遅く、製造後すぐに容器破損する可能性はないとされております。

 またそうであるが故に、製造時に要求されていた試験仕様では予測が困難な事象と推察されています。現在、これらの複合的な要因をさらに解明するためにさらなる調査、解析を継続してまいります。以上がβ事案におけるインフレータ容器の破損メカニズムについての、フラウンホーファー協会によるこれまでの分析結果であり、これは当社のこれまでの見解を基本的に裏付けるものと考えております。

エアバッグの市場措置の拡大について

 それでは次にタカタ製エアバッグの市場措置の拡大についてご説明いたします。まずは本年5月18日に合意いたしました米国における市場措置の拡大について説明いたします。決算報告、適時開示でも示しておりますとおりNHTSAとは、当社米国子会社であるTK Holdingsが中心となって対応し、協議を続けて参りましたが、NHTSAからの強い要請を受け、本年5月18日、TK HoldingはNHTSAに対し、4通の不具合情報報告書、DIRを提出するとともに、NHTSAとの間で同意指令に合意いたしました。TK Holdingsの提出した4通のDIRには、自動車の安全性に関わる不具合が対象インフレータの一部において発生する可能性があることが示されております。

 また先ほど説明いたしました内容とも重なりますが原因究明は継続中であるものの、高温多湿の環境に継続的に長期間にわたりさらされた場合に不具合が発生する可能性があること、車内への設置状況や製造場のばらつきなど複合的な要素が影響する可能性があること、さらに製造時に要求されていた試験仕様の範囲外であった可能性が示唆されております。以上の内容を踏まえ、今後拡大が想定され一部実施されている市場措置の内容が、記載されております。

 同意指令におきましてはDIRの内容に従い、市場措置を拡大すること。NHTSAによる調査等に今後も全面的に協力すること。回収品の試験、および不具合の原因究明を継続することが記載されております。この拡大市場措置は対象を広く設定しておりまして、安全性への懸念に対応するため広範かつ予防的な措置と言うことができます。今回の同意により、拡大が想定される市場措置はインフレータの機種、製造年、車種、地理的範囲に応じて優先順位を付けて進められることとなります。地理的範囲につきましては、こちらのスライドをご覧ください。

 こちらは、絶対湿度に応じて米国を4つのゾーンに分けた地図になります。赤色で示されたゾーン1が最も絶対湿度が高い、すなわち最も高温多湿な地域であり、ゾーン2からゾーン4に移っていくに従い、絶対湿度が下がっていきます。市場措置はここで示されるゾーン区分ごとに優先順位を付けたうえで、実施されることになります。

 続いて、米国における市場措置拡大による具体的な対象インフレータについてです。まず運転席側はPSDI、PSDI-4およびPSDI-4Kという機種について、全米において、全製造期間を対象に市場措置を行うことが想定されております。納入個数をベースにした推定対象製品数は、PSDIが約470万個。PSDI-4が約1230万個。PSDI-4Kが約60万個です。このうち約970万個は、5月の市場措置拡大までにすでに市場措置の対象となっていたものでございます。

 次に助手席側でございますが、まずSPIという機種につきまして、全米におきまして2008年モデルイヤーまでの車両に搭載されたものを対象に、市場措置を行うことが想定されております。納入個数をベースにした推定対象製品数は約770万個であり、この内約280万個は5月の市場措置拡大までにすでに市場措置の対象となっていたものでございます。交換手順は製造時期に従い、古いものから4段階で交換することが想定されております。

 また、PSPIおよびPSPI-Lという機種につきましては、まず高温多湿のゾーン1で販売または登録されたことのある特定の車種の、2007年モデルイヤーまでの車両に搭載されているものを対象として市場措置を行うことが想定されております。

 その後、調査の結果および、関係自動車メーカーさまとの協議を踏まえ、NHTSAが市場措置の拡大が必要と考え、実施を命じた場合、対象ゾーンを拡大していくことが想定されております。仮に全米に対象が拡大した場合には、納入個数をベースにした推定対象製品数は、PSPIで約330万個。PSPI-Lで約520万個となります。ただし、これらは当社から自動車メーカーさまへの納入個数をベースにした対象製品数であり、現在の市場における最終的な対象製品数や対象車両台数につきましては、自動車メーカーさまによる発表が正確なものになります。

 以上が、本年5月18日にTK HoldingsとNHTSAが合意した市場措置の拡大についてでございます。この拡大が実施できるよう、関係自動車メーカーさまと協議を行っており、一部メーカーさまにつきましては、すでに措置が実施されております。

 またこうした米国での拡大措置に関連して、日本におきましても関係の自動車メーカーさまと協力して対応しております。日本において、これは昨日までにはなりますが、決定している市場措置は、まず運転席側、ホンダさまよりPSDIおよびPSDI-4Kという機種のインフレータの全製造期間、全車種搭載分を対象に、計7万9,249台の市場措置、これ追加分でございます、が発表されております。また、マツダさまからはPSDI-4という機種のインフレータの全製造期間、全車種を対象とする計7万2,949台、これも追加分として市場措置が発表されております。

 次に、助手席側はSPIという機種のインフレータのうち、2008年モデルイヤーまでの車両に搭載されたものを対象とする市場措置が、昨日の時点まででホンダさま、およびマツダさまから発表されており、対象台数はホンダさまが25万9,479台。マツダさまが1万9,779台でございます。これも追加分でございます。こうした日本における市場措置においても当社は、各自動車メーカーさまに全面的に協力してまいります。

 以上が、これまでのリコールおよび市場措置の経緯についてでございますが、ここからは現在当社が行っている取り組みについて説明いたします。まず各当局への対応でございます。米国におきましては、NHTSAから特別命令による、情報提供要請を受けております。これに対応して各種文書提出や報告を行っており、引き続き全面的に協力をしてまいります。また同局からは、当社の協力が不十分であるとして1日当たり1万4,000ドルの民事罰の要求がございました。これにつきましては、同意指令の内容としてNHTSAはこの民事罰の対象期間を5月18日までとする、としております。

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