東海道新幹線の小田原駅を警戒する警察官=6月30日(ロイター/アフロ)

 東海道新幹線での放火事件を受け、一部では空港のような手荷物検査が必要ではないかとの意見が出ている。新幹線での手荷物検査は、現実的に可能なのだろうか。交通コンサル会社「ライトレール」社長で、「満員電車がなくなる日」の著書がある阿部等さんにその費用を試算してもらった。

手荷物検査レーンはいくつ必要?

1つの手荷物検査場で、1分で2人、1時間で120人検査できる

 新幹線乗り場で空港並みの荷物検査をすると考えると、1人の検査にかかる時間は約30秒。駅に手荷物検査レーンを1つ作ると、1分で2人が通過できるので、1時間では2人×60分で120人を検査することができる。

 東海道新幹線の1日平均乗車人数は、東京駅で9万3千人(2013年度)だ。このうち10%強がピーク時の1時間に乗車しているとして、東京駅からピーク時の1時間に乗車する乗客数は約1万人と想定される。盆暮れ、大型連休や正月などは、1時間あたり約1万2千人とみられる。

 このうち80%の人が手荷物を持っているとして、手荷物検査が必要なのは東京駅で1万2千人×80%=9600人。この人数を1レーンで検査できる120人で割ると、東海道新幹線だけで80レーンが必要な計算となる。

一人あたり500から1000円の値上げに?

東京駅の最大ピーク時の乗客を手荷物検査をするには、80の手荷物検査レーンが必要

 東海道・山陽・九州新幹線に導入する場合、1つの手荷物検査レーンを1時間稼働させるのに、人件費、設備投資や維持管理費、電力費、地代その他を合わせて約2万円の費用がかかるとする。

 東京駅や新大阪駅などの手荷物検査レーンはピークの1時間に1レーン100人以上を検査する高稼働率になる一方、山陽・九州新幹線の中小駅は稼働率は低いが、地代は安く済む。これらを考えて、平均して1時間に1レーン40人中32人検査した場合1人500円、20人中16人を検査した場合1人1000円となる。

 よって、空港並みの手荷物検査を新幹線で行うためには、1人あたり500〜1000円程度運賃を値上げするか、税金を投じる必要がある。東京駅では東海道新幹線だけでもピーク時対応のため80の手荷物検査レーンを作らなければならないことになり、そのための広大な駅の面積の確保も必要だ。

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