5月1日 プロ転向7戦目で勝ち名乗りを受ける村田(写真:中西祐介/アフロスポーツ)

 ロンドン五輪のミドル級金メダリストで、プロ転向後7連勝中のWBC世界ミドル級4位、IBF同級8位、村田諒太(29歳、帝拳)の、9月11日に米国・ラスベガスで予定されていた第8戦が、右肩の怪我により1か月延期されたことが21日、明らかになった。

 帝拳ジムの本田明彦会長によると、9月12日にラスベガスで、マニー・パッキャオとの世紀の一戦に勝ったフロイド・メイウェザーのビッグマッチが予定されているが、その注目を集める試合の前日に、同じくラスベガスで村田のアメリカ初進出となる試合が、マッチメイクされていた。対戦相手も世界上位ランカーではないが、レベルの高い強豪ボクサーで決まっていた。

 村田はまだ本格的なスパーリングには入っていなかったが、7月上旬にジムワークのミット打ち練習の途中で、肩が外れたようなアクシデントに襲われ強い痛みを訴えた。精密検査を受けた結果、幸いにして骨折や筋肉断裂という大きな怪我ではなかったが、練習の再開までには1か月は要するという。

 本田会長は、「原因は練習のしすぎ。何にしても納得するまでやる性格なので12ラウンドのミット打ちをしたりする。おそらく疲労が抜けていなかったのだろう。重症ではないが、9月に決めていた試合は1か月、延期することになった」と説明した。

 怪我の経過次第だが、順調に回復すれば、10月に再び米国・ラスベガスでの試合が組まれる方向。ラスベガスの試合は、全米のマーケットにMURATAの名前と実力をアピールし、ビッグマネーの飛び交うミドル級で世界戦を行うための“資格”を獲得しにいく意味合いを兼ねている。予定通りに9月11日に試合が開催できていれば、その試合内容次第で、年内開催を念頭に初の世界挑戦へ向けて交渉が進められる計画だった。だが、怪我による1か月の遅れで、テレビ局が力を入れる年末イベントに合わせての世界戦実現は白紙となった。
 
 村田が「今年は勝負にしにいく!」と7度目の試合後にリング上で宣言していた世界挑戦計画は軌道修正されることになったが、帝拳陣営に大きなショックの色はなく、本田会長も「年内の世界戦は難しくなったね。ただミドル級での世界戦は簡単ではないしタイミングもある。ここまでかなりのスピードで成長してきている。焦って無理をすることもない。今は1試合でも経験が大事」と言う。

 年内世界戦のスケジュールに追われることなく、実力をさらに伸ばして4団体のベルトの行方を見ながら絶好のチャンスを伺うことができると考えれば、怪我の功名と言えないこともない。いずれにしろ10月に延期されたラスベガスでの第8戦では、オリンピックのゴールドメダリストのプロとしての真価と価値が問われることになる。
(文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)