「集団的自衛権」に向き合った議論を

――こうした議論の状況の変化を踏まえて、参議院での審議にはどのようなことを期待したいですか?

 衆議院の審議では、維新の党が自公案に対して対案を出しました。維新の党案においては、「集団的自衛権」を認めることが憲法に違反するという指摘を回避するため、「自衛権」を単純に「自国を守るために武力行使をするもの」として再定義し、「個別的自衛権」の範囲を拡大することで、「集団的自衛権」という言葉を使わないで説明をしています。

しかし、この案には大きな問題がありました。従来の国際法における「自衛権」の考え方によって武力攻撃が正当化されるのは、自国に対する武力攻撃があった場合に「個別的自衛権」を発動するか、他国に対する武力攻撃があった場合に「集団的自衛権」を発動する場合に限られます。自国に対する武力攻撃がないのに、自国を防衛するためだと主張して、他国に武力攻撃を行うと、「先制攻撃」という扱いになってしまい、国際法との適合性を欠いてしまいます。衆議院で提出された維新案は、憲法9条という憲法的な議論を避けるため、「集団的自衛権」を認めているか否かを曖昧にするという手法が取られていたのです。

 しかし、維新の党最高顧問である橋下徹氏は自らのTwitterの中で、維新案の「自衛権」は「個別的自衛権」と「集団的自衛権」の双方を含むものと正面から認めるべきだと強調されています。橋下最高顧問が指摘されるとおり、参議院での審議においては、「正論には正論」で議論を戦わせることができれば、いつまでも集団的自衛権を認めるか否かという入口論にとどまることなく、何ができて何ができないのか、という実質的な議論が行われることになりますし、国民の中においても安保法制に対する理解が深まるのではないでしょうか。維新の党は、参議院では衆議院から修正した新たな案を出す予定があるといいますから、真の争点が浮き彫りになるような問題提起を期待したいと思います。

(ライター・関田真也)

《取材協力》三谷英弘(みたに・ひでひろ) 弁護士。平成12年に東大法卒、平成13年から弁護士。ワシントン大学院留学を経て、平成24年総選挙にみんなの党所属として当選。在職中は経済産業委、安全保障委等に所属。平成26年総選挙ではみんなの党解党を受け無所属にて出馬、落選。再起を期す