日本ジャーナリスト教育センター(JCEJ)は8月2日、全国から集まったジャーナリストが、取材や議論を通じてレベルアップを図る教育プログラム「ジャーナリストキャンプ2015浜松」の報告会を開きました。第2部のディスカッションには、参加者のデスク役を担当した福島大学特任研究員の開沼博さん、ローカルジャーナリストの田中輝美さん、朝日新聞be編集部記者の依光隆明さんと、JCEJフェローの河井孝仁さんが参加。地域の情報をどの視点から伝えるべきなのかを議論しました。

 今回のジャーナリストキャンプでは、静岡県浜松市を取材して、その成果をTHE PAGEで発表しました。(作品一覧はこちら

「東京目線」で掘り起こした「沢田マンション」

[写真]開沼博さん(左)と田中輝美さん

 フリーになるまで地方紙の記者として地域情報の発信に取り組んできた田中さんは、参加者にアドバイスしていくうちに、「地域を発信することがゴールとしてあっても、ど真ん中のことを書いても読まれない」ことを再認識させられたそうです。

 よその地域の人に伝わるものにするためにどうすればいいのか。依光さんは、よそ者の象徴としての「東京目線」で、地方を見ることの重要性を主張しました。

 「僕はかつて高知新聞にいましたが、高知の室戸ではウミガメを食べていたんですね。1キロ4000円とかで売っていました。そのことを朝日新聞が書いたんです。子どもたちが放流しているウミガメをスーパーで売っているという話になったんです。それまで地方の視点で伝えることが大事だと思っていたんですが、東京の目線で、視野を広げることも大事だと思うようになりました」

 さらに、依光さんは、2014年4月に高知市で開催した「ジャーナリストキャンプ高知」でデスクとして担当した、地元で有名な脱法建築「沢田マンション」に関する記事(『設計図は雲の上 高知の九龍城「沢田マンション」 (上)花咲き乱れる脱法建築』)を例に説明しました。

 「沢田マンションのことは高知の人はみんな知っています。でも、それを東京の人が記事にすることで、高知の人も改めて認識できました。外から掘ることによって、その地方を知ることができるわけです。高知の人にとっては空気のようなものです。地方の『魔窟』は距離があるからこそ見えるものでしょう」

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