[画像]今世紀に入ってすぐMQBによるモジュラー設計を打ち出し、現在の設計トレンドをセットしたフォルクスワーゲン。共通モジュールの順列組み合わせで様々な個性的なモデルが生み出せるという。写真はゴルフGTI

 いつの間にやらクルマのエンジンの向きが変わり始めている。と言われても何のことだかわからないかもしれないので、順を追って説明しよう。

 中型車以上は別として、現在ほとんどのクルマは「横置きFF」(フロントエンジン・フロントドライブ)レイアウトを採用している。横置きとはシリンダーが左右方向に並ぶことを言い、前後方向に並ぶ「縦置き」よりもエンジンルームのスペースの利用効率が良く、メカニズムパッケージをコンパクトにできる。小さいクルマのドライブトレーンとしては現在決定打と言える方法だ。もちろん駆動方式がFFであることが前提だ。

最初は吸気も排気も同じ側についていた

[画像]1959年型のオースチン・セブン(ミニ)のターンフロー式パワートレーン全体を車室側から見たところ。手前に見えるシフトレバーの直上に二股になっているのが排気管。その上にキャブレターと吸気管が備わる。左側に横向きについているのは何とラジエター。極めて個性的なレイアウトだ

 近年の自動車のエンジンの場合、クロスフローと言ってシリンダーの一方向から入った空気は燃焼を終えると反対側へ抜けていく。電車に例えると、終点で折り返す時、降車ホームと乗車ホームにそれぞれ面したドアを開けて一定方向に乗降させるようなものだ。

 昔はターンフローという方法もあって、これは途中停車駅の様に、片側ドアで客を降ろし、また乗車させる。だからターンフローの場合、吸気も排気もエンジンの同じ側につくことになる。

 ターンフローが廃れたのは燃焼室の空気(あるいは混合気)を綺麗に入れ替えるにはクロスフローの方が効率が良く、また吸排気と燃焼の効率を求めて2弁式から4弁式に変わっていった時に、よりノッキングが起きにくい燃焼室形状にするためにも都合が良かったからだ。それ以外にも吸排気管を全部片側に集中レイアウトしなくてはならない都合上、吸排気管の断面積を大きくするのが難しく、効率が悪かったことも大きい。あるいは高温になるエキゾーストマニフォールドの真上に燃料系を配置すると燃料系のトラブルが起きた時、発火に至る可能性が高い。古いクルマで車両火災が起きる理由の一つにもなっているのだ。こうして数々の問題を持つターンフロが淘汰され、エンジンの吸気と排気はエンジンブロックの前後両側に別れるのが当たり前になったのだ。

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