#01 「残された負の遺産」

今月、戦後70年の節目を迎えた日本。あまり知られてはいないかもしれないが、これに先駆けた今年の4月、ベトナムのホーチミン市では戦後40周年を祝う式典がひらかれた。
10年以上にわたる激しい戦闘の末、兵士、民間人あわせて130万人以上の死者をだしたベトナム戦争。しかしこの戦争はまだ「過去のもの」にはなっていない。 米軍が大量に使用した枯れ葉剤の後遺症が、いまだ何百万という人々の暮らしに影を落とし続けているのだ。
密集したジャングルに隠れながら戦った北ベトナムの兵士たちに手を焼いた米軍は、1960年代はじめから70年代にかけて、森林を枯らせ、田畑を使えなくする作戦を遂行した。使われたのが、人体にも有害な成分を含むエージェント、俗に「枯れ葉剤」とよばれる除草剤だ。何種類かのエージェントが使われたが、遺伝子に影響して流産や奇形の原因ともなるダイオキシンを多く含むエージェント・オレンジが大量に散布された。
2世代、3世代にわたって奇形や障害をもって生まれる子供たち、再生しない森林、土壌や水の汚染…。枯れ葉剤がベトナムに残した「負の遺産」は、あまりにも大きい。
(2009年7月)

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