セルビアとハンガリーの国境に集まる難民(ロイター/アフロ)

 安倍晋三首相は9月30日(日本時間)、米・ニューヨークで開かれている国連総会の演説で、シリアやイラクの難民・国内避難民に対し、約8億1千万ドル(約970億円)を支援することを明らかにした。昨年の支援額の3倍にものぼる額で、セルビア・マケドニアなどの「EU周辺国で難民の受け入れと格闘する諸国」に対しても経済支援をしていくと発表した。

 国外での難民や難民受け入れ国への支援が拡充される一方、日本で昨年認定された難民数は申請のあった5000人のうち11人。シリア難民は、約60人の申請者のうち3人の受け入れにとどまっている。過去には1年で1200人以上のインドシナ難民を受け入れた実績もある日本。対外的な難民支援には積極的な反面、国内では何がこれほどまでに難民の受け入れを厳しくしているのだろうか。

「難民であること」を難民自ら立証する厳しさ

 難民条約での「難民」の定義は、「人種、宗教、国籍もしくは特定の社会的集団の構成員であることまたは政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために、国籍国の外にいる者」と定められている。難民認定を申請するにあたっては、この条約上の「難民」にあたるかどうかについて、難民が自ら証明しなくてはならない。国内で難民認定手続きの支援をしている「いずみ橋法律事務所」の小田川綾音弁護士は、この「難民性」の認定が、日本は他国と比べて極めて厳格であると指摘する。

 「難民が本国から逃れるときに、迫害された体験や迫害を受けるおそれを示すための証拠を持ち出してくることは例外的です。ですから、難民性を判断するには、本人の供述を吟味することが重要になります。国際的には、難民性を判断する側にも、関連する事実を確認したり、本人に釈明を求めたりすることが求められています。しかし、日本では、客観的な証拠がないことや供述の細かい矛盾点を指摘することで、本人の供述を信用できないと判断する傾向が強いです。また、確実に本国の警察当局などからターゲットにされていなければ難民ではないという誤った考え方もあります」(小田川弁護士)

 実際、2014年に難民認定された11人のうち、5人は一次審査で「難民であること」を立証できずに不認定となっており、その後に異議申し立てをして再度審査をしたことで難民認定されている。自分では「難民性」を説明できず、その後弁護士や支援団体の力を借りてようやく認定に至る難民も少なくないというが、支援を受けることができている難民は申請者のうちのごく一部だ。

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