過去には政治判断で大量の難民を受けれた例も

1978年からの日本の難民受け入れ数の推移。1千人以上の難民を受けれいていた年もあった(法務省資料より筆者作成)

 日本は、昔からこれほど難民の受け入れに消極的だったのだろうか。確かに「難民条約」に基づく受け入れがされる難民数は最も多かった年(1982年)で67人で、1年に1人しか認定されなかった年も珍しくない。

 しかし、日本はベトナム戦争後から「難民条約」とは別の枠組みで「定住難民」としてインドシナ難民を受け入れ続けており、1980年代には多い年で1200人以上の難民を受け入れていた。インドシナ難民は政府の閣議決定で受け入れが決定され、個別に難民性の審査は行われていない。

 2010年度からは政府の閣議決定により、入管の難民性審査とは別の枠組みでミャンマー難民を受け入れており、受け入れの最終権限を法務省ではなく内閣官房が握っている。これらの例をみると、厳格な「難民性」の審査がなされる通常の難民条約上の難民認定とは別に、政府の政治判断次第で一定の紛争地域の難民を受け入れることも可能なのだ。

 政府はシリア難民を留学生として受け入れることも検討し始めた。難民支援協会の田中さんは「これまでの消極姿勢から一歩踏み出し、積極的に周辺国等に滞在するシリア難民を相当数受け入れることにつながることを期待したい。日本は70年代後半から、いわゆるボートピープルと呼ばれたインドシナ難民を1万人以上受け入れてきた経験がある。今回も官民連携を通じて、シリア難民の日本での受け入れは可能ではないだろうか」と話している。
(安藤歩美/THE EAST TIMES)