音楽大手のエイベックスが、著作権管理を委託していた日本音楽著作権協会(JASRAC)から離脱したことが話題となっています。JASRACとはどのような組織で、エイベックスがJASRACから離脱することにはどんな意味があるのでしょうか。

著作権管理を一手に担うJASRAC

JASRACのホームページ

 JASRACは、日本における音楽著作権管理をほぼ一手に担ってきた団体で、70年以上の歴史があります。音楽には著作権があり、これを利用した人は、その使用料を著作者に対して支払わなければなりません。こうした業務を著作者と利用者が個別に行っていては、あまりにも手続きが煩雑になってしまいます。このため、著作者はJASRACのような団体に著作権の管理を委託し、JASRACは著作者に代って利用料の徴収などの業務を行い、利用料の中から一定の報酬を受け取る仕組みになっています。

 こうした組織が作られたのは、事務手続きが煩雑になるという実務面からの要請に加えて、立場の弱い著作者を保護するという意味合いもあります。勝手に楽曲が使われたのに利用料が支払われないといった事態を防ぐために、JASRACのような組織が間に入り、しっかりと管理を行うわけです。JASRACには300万曲を超える楽曲が登録されており、同団体が日本の音楽著作権管理の世界に多大な貢献をしてきたことは事実といってよいでしょう。

独占的事業の弊害、テレビに流れない楽曲

 しかし、日本にはJASRAC以外にこうした業務を行う団体がほとんどなく、事実上JASRACの独占状態となっています。最近では、JASRACが独占的に事業を行っていることに対して弊害を指摘する声も聞かれるようになってきました。

 JASRACによる独占がもたらす弊害のひとつに、テレビ局との包括契約があります。現在、JASRACはテレビ局と包括契約を結んでおり、テレビ局は放送事業収入の1.5%を支払うことでJASRACに登録されている約300万曲が使い放題となっています。テレビ局にしてみれば、非常に便利な契約ですが、これが思わぬ弊害をもたらしています。

 例えば、ある楽曲の著作権を持っている作曲家がJASRAC以外の組織で著作権を管理するということになると、テレビ局は個別に契約を結ばなければなりません。テレビ局としては煩雑な契約作業が必要となりますから、こうした楽曲を使いたがらなくなります。テレビは免許制による独占事業ですから、社会に対する圧倒的な影響力が保証されています。その結果、JASRACに登録されていない楽曲はテレビに流れることがなくなり、事実上、市場から消えてしまうという事態が発生するわけです。この状況に対しては、2009年に公正取引委員会が排除措置命令を出しており、関連した訴訟では最高裁が今年4月、他の事業者を排除する効果があるとの判断を下しました。

 今回、エイベックスがJASRACから離脱した背景には最高裁による判断も大きく影響していると思われます。あらゆる業界に共通ですが、適切な競争環境はサービス品質の向上につながります。著作権管理の団体が適切に競争することによって、柔軟な著作権管理が実現可能となり、著作者の保護という本来の趣旨に沿った活動が行われると期待されます。

(The Capital Tribune Japan)