#07 哀愁の浜辺

(2015年7月)

(2015年7月)

コロンボ郊外の町、マウント・ラビニア。陽が傾き、橙色の光が浜を照らし出す頃合いをみて、ビーチへ足を伸ばした。夏の盛りだが、平日とあってか人も少ない。脱いだ靴をカバンにしまいこみ、足裏で砂の感触を楽しみながら長い浜辺を歩いていると、走りまわる若者たちの姿が目に入ってきた。ビーチ・ラグビーだ。クリケットが一番人気のこの国で、ラグビーをみるのは意外だったが、考えてみればこのスポーツも英国生まれ。植民地であったスリランカでプレイされていてもおかしくはない。

英国といえば、この町の名の由来に関する、こんな一説がある。

1800年代初頭、この地で任に当たった英国総督トーマス・メイトランドが恋に落ちた踊り子の名がラビニアだった。総督と地元の踊り子という禁断の関係であった彼らは、密かに逢引を続けるが、数年後、総督はマルタへと赴任することになる。ラビニアと離れ離れになってしまった彼は、他の女性と結婚することなく生涯を終えたという。そんなストーリーに想いを馳せると、人気の少ない夜のビーチが一層哀愁を帯びてくるようだ。

(2015年7月)

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