#08 島国の抵抗

(2015年7月)

日が沈み、夜の帳が下りると、コロンボ港に設置されたクレーンに煌々と灯りがともりだす。古くからこの港はヨーロッパとの交易の窓口となってきたが、いまや世界有数規模のコンテナ港に拡大。アジアの主要港としての役割を担うまでになった。

今年3月、コロンボ港の港湾都市プロジェクトをめぐって、中国との間に一悶着が起こった。プロジェクトは、親中派であったラジャパクサ前大統領が内閣を通さず独断で締結した中国支援の大事業。すでに工事は進められていたが、これにシリセナ新政権が待ったをかけたのだ。あまりに一方的に中国側の利権になるような契約であったうえ、完成後の中国の軍事使用が懸念されたためだ。

香港からスーダンまでの港をつなぐ海上交通路「真珠の首飾り」戦略を企む中国にとって、スリランカは重要な拠点となる。最終的には、中国の資金無しに開発を進めることができないスリランカは妥協せざるを得なくなるだろう。

それでも、この工事差し止めは、ポルトガル、オランダ、そしてイギリスの植民地となった歴史をもつこの島国の、今度は大国の言いなりにはならないぞ、という抵抗宣言でもあるのだ。

(2015年7月)

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