野村総合研究所は2日、日本の労働人口の約半数が、人工知能やロボットで置き換えが可能という推計を発表しました。果たしてこれは本当なのでしょうか。

人工知能やロボット等による代替可能性が高い労働人口の割合(日本、英国、米国の比較)(出所:NRI)

 人工知能による仕事の置き換えについては、2013年にオックスフォード大学が発表した推計がもっとも有名です。これによると、米国の労働市場における仕事の47%が人工知能もしくはロボットで置き換えが可能だという結果でした。野村総研の推計は、オックスフォード大学との共同研究であり、同大学の研究者からアルゴリズムの提供を受けて行ったものですから、基本的にはまったく同じ手法と考えてよいでしょう。違いは日本と英米の職種の分類ということになります。

 人工知能やロボットによって置き換わる可能性が高い職種としては、一般事務員、組立工、タクシー運転手、レジ係などが列挙されています。いわゆる単純労働的な仕事がロボットに取って代わられるという解釈のようです。一方、置き換わる可能性が低い職種としては、アートディレクター、エコノミスト、教員、介護職員などがあります。創造性が必要であったり、他者の理解や説得が必要な職種は置き換え可能性が低いと分析されています。

人工知能やロボット等による代替可能性が高い 100 種の職業

 オックスフォード大学の研究は、人工知能による置き換えというテーマにおいては先行的なものでしたので、世界各国で話題となりました。同研究では、各職種について、操作面、創造性、社会的相互作用などの各項目で評価し、置き換え可能性を数値化するという手法が使われました。

 ただ、この手法に関してはいくつかの前提条件が付いていることに留意する必要があります。例えばロボット化に伴ってそれを管理する仕事が発生するといった部分は除外されていますし、ロボット化のコスト面も考慮に入れられていません。いくら便利でも人の方が安かった場合には、人が優先される可能性は高いでしょう。

 どういった項目がロボットに置き換えられるのかという前提条件も、この研究が出た当時と現在では様子が変わっています。研究では芸術関係の置き換えは難しいといわれていますが、最近ではむしろ、音楽やデザインなど感性が必要とされる分野ほど、ロボットの置き換えが容易との見解も出てきています。

 また日本では、雇用の流動性が低く、立場が保証される正社員の仕事は維持され、非正規社員の仕事だけがロボットに置き換わってしまう可能性もあります。あくまで、先行研究事例を参考に、同じ条件を日本に当てはめたものとして、割り切って解釈した方がよいでしょう。

 ネットではこの結果を受けて、先行研究の条件を変えるだけのレポートを書く仕事こそ、ロボットに置き換わってしまうのではないかとの皮肉な意見も見られました。

(The Capital Tribune Japan)