11月30日、人民元の特別引き出し権(SDR)入りが、国際通貨基金(IMF)の理事会で正式に決定しました。SDRは米ドルをはじめとする世界の主要通貨から構成されていますが、具体的にどのような役割があるのでしょうか? また、このSDRに人民元が加わることで、国際金融のパワーバランスはどのように変わっていくのでしょう。

 

IMFが発行する「SDR」の役割とは

SDRに人民元が加わることで、国際金融のパワーバランスはどのように変わっていくのか?(写真はイメージ、提供:アフロ)

 そもそも、IMFとは国際連合の専門機関であり、通貨や為替の安定化を目的とした組織。そのため、財政危機に陥った国を支援することも主要な業務のひとつです。SDRはそのIMFが発行する疑似通貨のようなもの。通常、SDRは準備資産として加盟国に割り当てられていますが、いずれかの国が資本収支の危機に陥った場合、SDRを使って財政の立て直しをはかることがあります。今年に入ってからは、ギリシャが財政危機の際に自国のSDRを取り崩してIMFへの債務を返済しました。つまり、SDRは通貨のような役割を果たすと同時に、いざというときに経済的な融通を受けられる「権利」でもあるのです。

 もちろん、SDRという通貨自体は存在していないので、SDRを発動する際には「1SDR=○○ドル」といった形で、交換可能な通貨と引き換えられます。そのSDRのレートは、これまで、米ドル・ユーロ・ポンド・円の4つの通貨のレートから構成されていました。その構成比率は現在、ドル41.9%・ユーロ37.4%・ポンド11.3%・円9.4%。このように、複数の通貨を組み合わせて、為替レートを決定する仕組みを「通貨バスケット制」と呼びます。財政危機に陥った国は、SDRと引き換えに通貨バスケットに組み込まれた通貨を融通してもらえる仕組みになっているのです。そのため、SDRに採用されるということは、通貨として高い価値と信頼性があると認められることでもあります。そして今回、そのSDRのバスケットの中に新たに加わったのが“人民元”なのです。

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