今季の契約更改の主な大幅アップダウン。いずれも金額は推定です。

 選手にとって切実なプロ野球の契約更改も、そろそろ終了。19日も、今季の奪三振タイトルを獲得した阪神の藤浪晋太郎が、8500万円アップの1億7000万円で更改した。2億円アップとなったソフトバンクの五十嵐亮太、黒田博樹の2人ら大幅アップを獲得した選手も続出する一方で、年俸5億円から4億5000万円もの大減俸となった巨人の杉内俊哉ら大幅ダウン組も目立った。

 だが、新聞紙上で明らかになる更改年俸には、いつも「推定」の但し書きがつく。これは日本独特の表現でインセンティブの詳細まで正確に明らかにされるメジャーの契約報道では推測の2文字がつかない。

 ドジャースとの破談から急転、マリナーズとの再契約が決まった岩隈久志の契約に関してもシアトルタイムズら複数の米国メディアが詳細に伝えたが、推定の2文字はつかず確定情報として報じられた。

 この日米の違いは何なのか。なぜNPBの年俸報道は推定年俸なのか。

 すでに多くの解説サイトで報じられているが、日本のプロ野球の場合、契約更改を終えた年俸の報道は、球団が発表するわけではなく、まるで禅問答のような記者と、当事者、或いは球団の幹部などとの取材の中で、推測されて報じられる。今オフに1億5000万円となった西武の秋山翔吾のように、ハッキリとした金額を自らの口から発表する選手も、ごくまれにいるが、ほとんどの選手は言わない。

 筆者も、スポーツ紙の記者時代、契約更改の度に推定報道を続けてきた。たいていの場合、テレビカメラが止まってから、本人に「大台に乗った?」とか、「30パーセントは超えた?」とか、探りを入れながら「まあ、そのへんで」とか「そこまでは」とかのやりとりの中で、ある程度の金額を推定し、今度は球団サイドの人間をつかまえて、同じような問答を繰り返しながら微調整をしていく。そして最終的には、番記者同士で口裏を合わせて金額を統一するのだ。

 ただ選手によっても、球団によっても対応は様々で、中には資料を見せてくれた球団幹部もいた。だから球団、選手によって推定年俸は正確にもなるし、一度、間違った推定年俸の誤差が、毎年広がって最終的には驚くほど不正確な数字になってしまう場合もある。筆者は時折、独自ルートで本当の年俸情報をつかみ、口裏を合わせた金額とは違う金額を報じることもあったが、引退後に「推定年俸は間違いで、実際はこうだった」と、暴露する選手も少なくない。