東芝の不正会計問題があらたな局面を迎えています。同社が今期決算において巨額赤字を計上する見通しとなったことで、同社の経営が維持できるのかという別の問題が生じてきたからです。

巨額赤字を計上した東芝(写真:ロイター/アフロ)

 東芝は21日、2016年3月期の決算において大幅な赤字になるとの見通しを発表しました。業績の悪化に伴う減損処理が約1100億円、リストラ費用が2300億円、繰延税金資産の取り崩しが2600億円となっており、すべての損益を通算すると最終的な赤字額は5500億円になる見込みです。同社は今期決算の見通しについて公表を先延ばしにしてきましたが、フタをあけてみると巨額赤字という結果でした。

 現在、同社の自己資本は1兆円ほどありますから、今期の赤字計上によってその半分が失われることになります(非支配分含まず)。一方、負債は約4兆8000億円ですので、最終的に同社の自己資本比率は10%を切る計算です。東芝のような重電メーカーは、製品が納入されるまでの期間が長いですから、相対的に厚い自己資本を用意する必要があります。10%を切るということになると、危険水準という認識が市場から出てくる可能性が高いでしょう。

 東芝の場合、問題はそれだけにとどまりません。今回の赤字には、資産価値の評価について市場から疑問視されている原子力部門の減損分が含まれていないからです。

 同社は、米国の原子力企業ウェスチングハウス社(WH社)を買収していますが、買収金額はWH社の実際の資産価値を大きく上回っており、その分は、のれん代として同社の資産に計上されています。同社はWH社以外にも買収を行っており、のれん代の金額は6700億円にも達します。

 東芝が採用する米国会計基準では、毎年、事業の見通しについて検証を行い、当初の見込みを大きく下回っている場合には、資産価値について減損処理することが定められています。WH社本体ではこのルールに従い、すでに13億ドル(現在のレートで約1600億円)の損失処理をしていますが、この数字は東芝全体の決算にはなぜか反映されていません。

 本来であれば、この1600億円は連結決算全体に反映させるべきものですし、原子力事業の状況を考えると、損失が拡大する可能性もあります。もし原子力事業の減損処理が想定外に大きかった場合、同社の自己資本はさらに低下するでしょう。

 そうなってくると、問題は不正会計だけでは済まなくなります。場合によっては、同社の経営が継続できるのかという話になってくる可能性もゼロではありません。

(The Capital Tribune Japan)