東芝の不正会計を見過ごしたとして、同社の監査を担当していた新日本監査法人に重い処分が下されました。会計を監査するのが監査法人と公認会計士の仕事ですので、妥当な処分ではありますが、一部からは監査法人だけが責任を負わされているのではないかとの声も聞かれます。企業の暴走を防ぐのはいったい誰の役目なのでしょうか。

[写真]不適切会計について謝罪し、自らの辞任を発表した田中久雄社長(2015年7月21日、撮影:山本宏樹)

 金融庁は昨年末、新日本監査法人に対して、新規契約の3カ月停止と業務改善命令という処分を下しました。これは監査法人に対する処分としては異例の措置であり、極めて重い内容です。これを受けて新日本監査法人は、トップが引責辞任するとともに、東芝を担当した会計士6名を事実上解雇するという、こちらも厳しい内部処分を発表しています。監査法人は、企業の会計を監査するのがその仕事ですので、不正会計を見過ごすようなことはあってはなりません。その意味で、今回の処分は妥当なものと受け止められています。

 しかし一方で、何ともすっきりしない印象が残るのも事実です。監査法人は監査が職務とはいえ、監査する対象である企業から報酬をもらって監査を行うという立場です。監査法人は企業から契約を切られてしまうとビジネスになりませんから、監査が甘くなる余地がどうしても残ってしまいます。こうした状況を総合的に考えると、会計に対する責任はまず取締役会にあり、監査法人はそれを補完する外部のプロ集団であると考えるのが自然でしょう。

 東芝は、16名の取締役のうち8名が執行を兼務しない取締役となっており、さらに執行を兼務しない取締役の半数が社外役員です(当時)。また社内の取締役2名、社外の取締役3名からなる監査委員会も設置されていました。

 執行を兼務しない取締役の仕事は、執行役を監督することであり、さらに社外役員は株主の立場から会社の経営を監視するのがその役割となります。彼等は東芝に雇われているのではなく、東芝の株主に雇われているという立場であり、本来であれば、彼等がしっかりと経営の内情を監視しなければなりません。

 東芝の不正会計について調査を行った第三者委員会は、監査法人が適切な指摘を行っていなかったということに加え、一連の内部統制が機能していなかったという事実も指摘しています。監査法人はしょせん外部組織に過ぎないことを考えると、本当に責任を負うべきなのは、やはり東芝の経営陣ということになるはずです。

 監査法人に対する今回の重い処分と、東芝の経営陣に対するこれまでの処遇を比較した時、東芝自身の対応はこれでよいのかという疑問の声が出てくることは避けられないでしょう。

(The Capital Tribune Japan)

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