[写真]会見する隈研吾氏

 2020年東京五輪・パラリンピックの主会場となる新国立競技場において、デザイン案が採用された建築家の隈研吾氏が15日、東京の外国特派員協会で会見した。白紙撤回された旧計画をデザインした建築家のザハ・ハディド氏側が、自分たちの案と似ていると指摘したことについては、「コンセプトがまったく違う」などと反論した。

【中継録画】新国立競技場をデザイン 建築家の隈研吾氏が会見

ザハ氏案は「サドル型」われわれは「水平型」

 隈氏のデザイン案のコンセプトは、「木と緑のスタジアム」。たとえば、スタジアムの外側には日本在来の植物を植え、周囲の環境と調和するよう配慮した。屋根のひさしの軒の部分に木材を使用。これについて、隈氏は、「法隆寺の五重塔もひさしの軒が美しい。これを現代に蘇らせようと考えた」と説明する。

 スタンドの屋根は木と鉄を組み合わせた構造を採用し、下から見上げると木が見えるようデザインした。木に囲まれているという暖かさ、柔らかさを感じてもらいたいとの狙いがあるという。屋根の木材は、国産のカラマツを使用する。このほか、屋根には太陽電池を配置し、建物の周囲に植えられている植物への水分供給などに用いる。

 新国立競技場のデザインについては当初、キールアーチを活用するザハ氏案が採用されたが、コスト増などを理由に白紙撤回され、再びコンペが行われたという経緯がある。隈氏は、「最初のコンペは参加条件が厳しく、お呼びじゃないと思った。今回のコンペで大成建設から声がかかって正直びっくりした。大きな設計事務所と大きな建設会社がチームを組むものだと思い込んでいたので、これは名誉なこと、全力を尽くして頑張ろうと思った」と語る。

 隈氏の案については、ザハ・ハディド氏側が、「デザインはわれわれの提案に驚くほど似ている」との声明を発表している。これに対し、隈氏は「ザハ氏の建物は、ユニークで彼女の哲学があわられた素晴らしい建築だった」と評価しつつも、「コンセプトがまったく違っており、似ていない。ザハ氏の案はスタンドの両サイドが盛り上がった形の『サドル型』。われわれは、建物の高さを抑えるため『水平型』を採用した。また、座席の並びも、東京都の火災予防条例にしたがうと、自動的にだいたい同じ配列になってしまう」などと反論した。

 提案に際しては、コストの低減化を重視したという。水平型を採用したのは、その構造上、同じ部材を繰り返し使うことになるため、材料費を下げられると考えたから。「今の時代、世界中どこでもコストが大事な時代なので、どうすればコストを下げられるのか、われわれの事務所ではいつも考えています」と隈氏は説明した。

(文・写真:具志堅浩二)