元名スカウトが選ぶ2016年注目の7人

 2016年のドラフト戦線が早くもスタートした。高校はセンバツの発表が間近。学生、社会人のチームも始動。各球団の担当スカウトは、練習からグランドに顔を出して密着マークを続け、ほとんどの球団が編成会議を開き、大まかな補強方針を確認している。

 1位指名が重複すると言われている創価大の本格派右腕、田中正義を筆頭に“大谷・藤浪世代”には、A評価選手が揃っていて、高校生も含め豊作のドラフトと呼ばれているのだが、実態としてはどうなのだろうか? 元ヤクルトの名スカウトとして古田敦也や宮本慎也らを発掘してきた片岡宏雄氏に、ドラフト候補の映像や資料を元に意見を聞き、独自の注目のA評価候補をピックアップしてもらった。

 まず最初に名前が出たのは、最速156キロ、大学侍ジャパンに選ばれ、昨秋のリーグ戦ではノーヒットノーランを含む防御率、0.00の数字を残した超目玉の田中正義だ。

「あくまでも現段階で言えば、報道されているほどの豊作のドラフトとは思えない。田中正義の力が飛びぬけているというよりも、他に肩を並べるような選手がいないので、押し出されているだけだろう。確かに田中は、ボールに力があり、一級品。体も強くフォームバランスもいい。ただ、即2桁が期待できる完成品かと聞かれればそうではない。変化球の細かい制球力には疑問を感じるのだ。プロの世界で、ここぞという場面を抑えることのできる力はまた備えていない。過去に最多の8球団が競合した野茂と比較されているそうだが、それは可哀相。野茂に比べると、田中の力は落ちる」

 片岡氏は、特Aと認めながらも過去のドラフトで最多競合した野茂英雄に比べるとレベルは下と指摘した。

 “大谷・藤浪世代”となる大学には好投手が揃っているが、片岡氏の目に留まったのは、最速151キロを誇り、首都大学リーグで46年ぶりとなる完全試合をやってのけた東海大の丸山泰資(東邦、176/75)と、大学侍ジャパンに選ばれた神奈川大の左腕、濱口遥大(三養基高、173/78)の2人だ。

「丸山は腕の振りがよく、肘から先に出てくるので球持ちもいい。しかも、バランスが取れている。濱口も、バラつきがなくまとまりがある。上背はないが、左の欲しいチームは上位指名するだろう」

 他にも片岡氏の母校の後輩で、大阪桐蔭時代、阪神・藤浪晋太郎の控えだった立教大の澤田圭佑(178/85)や、最速146キロの明大の柳裕也(横浜高、180/80)、最速155キロで、流通経済大のエースとして大学選手権準Vをして注目を集めた生田目翼(水戸工 174/76)、横浜DeNA2位指名の熊原健人に投げ勝った九州産大の高良一輝(興南、177/70)、最速153キロの慶応大の本格派、加藤拓也(慶応、175/85)らがドラフト候補だが「明大の柳は、体は強いが少しずぶい。これと言ったものがない。生田目は、体が開き、球離れも早い。キャッチャーにパワーが向かっていない。高良も、そう崩れずに安定感があるがボールがバラつく。立教大の澤田も、まだ力任せで荒い」と、評価は高くなかった。

 社会人の中からは、大阪ガスの本格右腕、酒居知史(龍谷平安、大体大、179/71)の名前が挙がった。最速148キロを誇る本格派で、都市対抗では、久慈賞、若獅子賞をダブル受賞している。

「伸びシロを感じる。スピード表示よりも手元でボールが来ているし、まだまだ球威が出ると思う。全体的にボールが高めに浮くのが気になるが、高校、大学を経て社会人に進んだにしては、まだ体ができあがっていないのだろう。秋にかけて見ていきたいが、田中の次に目についた投手だ」