環太平洋連携協定(TPP)は、数年にもわたって骨の折れる交渉を必要とし、参加国の利益のバランスを取る必要があった。交渉の大きな懸念は、国益だけではなく、各国の国内政治や影響力のある産業団体まで及んだ。この協定は、各国の議会が批准しなければ発効しない。日米両国は、それぞれの議会をどう説得するのだろうか。米プリンストン大学のウッドロー・ウィルソン国際公共政策大学院教授で、日米関係と国際貿易の専門家のクリスティーナ・デイビス教授に聞いた。

「必ず議会を通過するとは言えない」

(写真:ロイター/アフロ)

 TPPの交渉妥結は大きなステップだが、そのことは必ずしも国会や議会を通過することを保証しない。デイビス教授は「アメリカ議会において、確実なことは何もない。それゆえ、私はTPPが必ず議会を通過するとは言えない」と語る。

 「貿易促進権限(TPA)の採決は、非常に僅差でした。その段階の政治的な困難さを考えると、TPPの最終合意を議会を通過させるのは、まだ難しいだろうと私は思います」

オバマ政権末期に議会を通過する可能性が高い

 オバマ政権は、この協定においてバランスをとることを求められた。「外国の要求を満たすために一部譲歩したことによって、共和党支持者や、民主党内で急激に高まっている反対派の支持を失いました。合意の内容がより明らかになるにつれ、ある人は以前より好意的に評価し、ある人はより反対するようになりました。議会を通過するのは、とても大変だろうと思います」

米プリンストン大で取材に応じたクリスティーナ・デイビス教授(Matthew Kolasa撮影)

 TPPの交渉参加国は最終合意にサインをするまで、協定全文を公開しなかった。それゆえ、詳細に関する憶測が高まり、非公開交渉の内容への疑念が高まったといえるだろう。

 このような困難にも関わらず、デイビス教授は「オバマ大統領のリーダーシップで形成される民主党内の支持派と、通商利益と貿易の促進に強い関心をもつ共和党の一部との間で連携があるでしょう」と予想する。そして「大統領選挙が終わり、オバマ政権の最終盤の『レームダック』期間に、議会を通過し、オバマ大統領の元へ来る可能性が高い」と述べた。

では、日本の安倍政権はTPPを国会で通過させることができるのだろうか。
(次回に続く)

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