エンゲル係数が急上昇、日本の家計はそろそろ限界か?(写真はイメージ/アフロ)

 家計の消費支出に占める食費の割合を示すエンゲル係数がこのところ急上昇しています。エンゲル係数が高くなるほど生活が苦しいと言われていますが、わたしたちの財布に何が起こっているのでしょうか。

 総務省がまとめた11月の家計調査における食料品支出は7万111円でした。支出総額は27万3268円だったので、エンゲル係数を計算すると25.7%という数字になります。2013年まではエンゲル係数が25%を超える月はほとんどありませんでしたが、2014年に入ってから25%を超える月が増え始め、2015年になるとその傾向がさらに顕著になりました。5月以降は、毎月25%を超える状況が続いています。

 食料品は、生命を維持するための最低水準というものがありますから、嗜好品に比べて極端な節約ができません。このため、生活が貧しくなってくると家計支出に占める食料品の割合が増加するという傾向が見られます。このことから、エンゲル係数は生活水準を示す指標といわれています。

 もっとも現代の先進国では、消費が多様化しており、必ずしもエンゲル係数の上昇が生活水準の低下を示すとは限りません。しかし、エンゲル係数は家計の状況を示す有力な指標のひとつであることに変わりはありませんから、この数値が上昇するということは要注意と考えるべきでしょう。

 エンゲル係数が2014年以降に急上昇した直接的な原因は消費税の8%への増税です。円安が進んだことで、日本では原材料価格が上昇する一方、給料はそれほど上がっておらず、家計の実質所得はマイナスが続いています。消費は弱いままですから、事業者は簡単に値上げすることができません。

 このため、内容量の削減など見えない形で値上げを続けてきましたが、それも限界となってしまいました。2014年4月の消費増税をきっかけに名目上の値上げに踏み切った事業者が多く、これが食料品の価格を押し上げたと考えられます。消費税が上がっても、収入が増えたわけではありませんから、消費者は他の品目を切り詰めることになり、結果的にエンゲル係数が上昇したわけです。

 支出が減っているのは、身の回り品や小遣い、洋服、履物といった品目です。こうした部分で何とか支出を切り詰め、食料品の購入を維持しているようです。

 ちなみに1997年4月に実施された消費税の5%への増税時には、エンゲル係数の目立った上昇は見られませんでした。当時は家計に余裕があり、贅沢品への支出も多かったはずです。消費増税に対しては、各品目についてまんべんなく消費を減らして対応したものと考えられます。

 消費増税でエンゲル係数が急上昇してしまったということは、日本の家計がそろそろ限界にきていることを示しているのかもしれません。

(The Capital Tribune Japan)