[写真]2012年大統領選再選を果たしたオバマ大統領(ロイター/アフロ)

 アメリカ大統領選挙の民主・共和両党の指名をめぐる予備選段階がいよいよ2月1日(日本時間2日午前)のアイオワ州党員集会からスタートします。連載3回目は、民主党、共和党ともに激しい接戦が予想される予備選の今後を展望しながら、「オバマ政権とは一体、何だったのか」について検証します。(上智大学教授・前嶋和弘)

【図】米大統領選2016(上)保守派からも“トランプ降ろし” 混沌の共和党予備選

「影の予備選」で沈んだ人、浮上した人

[図]米大統領選の流れ

 まず、これまでの基本的な流れを振り返ってみます。実際の投票がスタートする前に、1年以上にわたり、予備選段階の最初で戦うアイオワ、ニューハンプシャー両州を中心に、各候補者は地道に選挙運動を行ってきました。その「影の予備選(シャドー・プライマリー)」では、支持率だけが勝負の中心でした。

 共和党では、2015年の春から初夏にかけては、ジェブ・ブッシュ(元フロリダ州知事)がトップを走ったこともありましたが、6月に出馬宣言をしたドナルド・トランプ(不動産事業者、テレビ司会者)が次第に支持率を高め、夏からは一時期を除いてずっとトップにいます。9月から11月にかけては、トランプと同じく政治的経験の全くないベン・カーソン(元小児脳外科医)が「もう一人のアウトサイダー」として注目されましたが、すでに失速しています。

[写真]共和党の大統領候補を争う、左からカーソン氏、クルーズ氏、ルビオ氏(ロイター/アフロ)

 カーソンに代わる2番目の候補として、12月から1月まで急激に支持率を伸ばしているのが、テッド・クルーズ(上院議員)です。大きく離れていたトランプとクルーズの支持率は全米規模でも15%程度にまで近づいてきました。クルーズは資金と組織をアイオワ州に集中させたこともあって、1月末のいくつかの世論調査ではトランプとクルーズの差はアイオワ州に限っては5ポイント程度となっています。統計的な誤差を考えると差はほとんどありません。一方、ニューハンプシャー州ではトランプが各候補を20ポイント以上離しています。

 一方、民主党の方はずっとヒラリー・クリントン(前国務長官)の独走状態が続いてきましたが、2015年秋口から、バーニー・サンダース(上院議員)が徐々に支持率を詰めてきました。1月末のクリントンとサンダースの差は全米では15ポイント程度です。ただ、1月末の段階では予備選段階の最初の党員集会が2月1日に行われるアイオワ州では、クリントンとサンダースの差は調査によっては5ポイント以内であり、差はほとんどないという調査もあるほか、2月9日に予備選が開かれるニューハンプシャー州では、サンダースが10ポイント以上、クリントンより高い支持率を記録しています。